2022年10月30日

【実は通勤形の現役最古参】小田急電鉄8000形、8056F(4両固定編成)の廃車除籍処分から気になる他編成の動向は…

2022年10月14日の6757レ(平日E25運用)で運用を離れ、27日に小田急電鉄大野総合車両所89番構内留置線に留置されていた8000形4両固定編成の8056Fがついに廃車除籍処分となりましたが、8000形の廃車はこの編成で通算4編成目であり、通勤形では現役最古参となっている同形式の動向が注目されています。
▲2022年10月27日をもって屋根空調装置やパンタグラフ、車番(前面部のみ)、ロゴマークが撤去され、廃車除籍処分となった8000形8056F。10両編成を解消した10月15日以降は8256Fが6両固定編成単独のA運用に充当されていて、8056Fの廃車で10両編成のE運用に入る可能性はほぼないと考えよう。大野総合車両所構内で痛々しい姿を見るとは…。
▲小田急電鉄の通勤形で唯一白い車体にロイヤルブルー帯を巻く8000形。リニューアルしたとはいえ登場から40年を迎えた通勤形の現役最古参だ。8056Fがこの形式の4両固定編成で初の廃車除籍処分となったが、実はその前に6両固定編成の3本(界磁チョッパ制御の8251F8255F、1本は踏切事故で損傷した8264F)が廃車除籍処分となっている。

この小田急電鉄8000形は1982年から登場しており、リニューアル更新工事を経て約40年間にわたって活躍が続いています。この形式で最初に廃車除籍処分となったのは2019年6月の踏切事故で乗用車と衝突した8264F(6両固定編成・2007年度リニューアル)であり、事故後から約10ヶ月後の2020年4月に正式に廃車除籍処分となりました。なお事故廃車に関係なく最初に廃車となったのはチョッパ制御のまま残った8255Fでした(同編成は江ノ島線開業90周年ラッピング車を経験しました)。この形式のリニューアル更新工事が完了したのは2013年度の8059F(4両固定編成)ですが、最後の2本(8059F8061F)はSiC素子モジュールのVVVFインバータで更新されました。連結器の違いや制御装置の相違から、8251F8255Fは単独運用、それ以外は10両編成のE運用または6両固定編成のA運用に充当されていました(6両固定編成はリニューアル前後も、4両固定編成はリニューアル前に箱根登山鉄道での運用を経験している)。8000形では6両固定編成だけでなく4両固定編成にも廃車が出たことで、クヤ31形の電源供給車にも使用される8065F8066Fとともに他編成の動向が注目されることになりそうです。ここから先は10両編成の運用数などから8000形の今後を予想しようと思います。長くなりますが最後までご覧いただければと思います。

2022年3月のダイヤ修正時点での10両編成の運用を確認すると、車種を限定しないE運用はE11運用からE38運用まで(28運用)とE61運用からE72運用(12運用)の40運用(土曜休日での予備留置を含む)、4000形固定運用のC運用はC11運用からC23運用の13運用があり、合計53運用あります。ここで各形式の10両固定編成の数(8000形は10両編成に組成できる数)を計算すると、1000形が7編成(1091F1097F、うち1095F以降はすべて改造車)、3000形がすべて6両固定編成・8両固定編成からの改造車で12編成(3081F3087F3091F3095F)、4000形が16編成(4051F4066F)、5000形が10編成(5051F5060F)の合計45編成ですが(10月27日時点で営業運転にすべて投入できる段階での数)、5000形はすでに5061Fが搬入されているほか(10両固定編成の通算46編成目)、今年中(12月3日)にはさらに5062Fが搬入される予定となっており(10両固定編成の通算47編成目)、新製車両を含めて10両編成の全53運用に対して運用に投入するわけですから(仮に4000形を固定運用13運用にすべて投入しても、残る編成で車種を限定しないE運用にも投入ができる)、こうなると登場から約40年を迎えた通勤形最古参の8000形をどこまで置き換えるか、減らすかになってくるわけです。ちなみに8000形は8056Fの廃車前の時点で10両14編成分になります。

昨年度では5000形の新製投入により、1000形ワイドドア車(全6編成・1751F1756F)やリニューアル対象外となった編成(ただし元1081Fの付随車2両は10両固定編成改造に転用)の置き換えを優先したため、1000形の置き換えに集中したわけですが、今年度は昨年度とは異なり、1000形非リニューアル編成の置き換えはもちろんですが、実は1000形より古参の8000形(の10両編成)を減らす狙いがありそうです。ただし同形式にはクヤ31形連結対応に改造された編成や車内照明をLEDに交換した編成もいますし、10両編成の運用には車両故障時などのトラブルに備えて予備車両も必要になってきますから、すべて8000形を置き換えるわけにはいかないのも事実です。なお8000形は最盛期には4両固定編成・6両固定編成ともに16編成ずつが在籍していましたが、リニューアル時の連結器や制御装置の相違で10両編成を組むことができたのは14本分だったわけです(8251F8255Fは界磁チョッパ制御のままにリニューアルされたため、8051F8055Fとは連結できず)。ただし8000形以外の10両固定編成の数と運用数を考慮すると、少なくとも6編成以上(10両編成のE運用などを8000形4両固定編成+3000形6両固定編成以外ですべて埋めるだけの前提の場合は6編成)、予備車両が必要になることを考えたら8編成前後あたりまで残せば(4両・6両ともに各10編成を切ってもいいという想定の場合)、8000形をある程度廃車にできる計算というわけです。10両固定編成の入場時などの代走として、ここ最近では見る機会が大幅に減ってしまった8000形4両固定編成と3000形6両固定編成(限定で1次車・2次車のみ)を組ませても補填ができますね。現時点での8000形の在籍数を整理すると、

【8000形の在籍状況】※2022年10月27日現在 全体…28編成138両/32編成160両
《4両固定編成》
運用中…15編成(60両)
8051F8052F8053F8054F8055F8057F8058F8059F8060F8061F8062F8063F8064F8065F8066F
廃車済… 1編成(  4両)
8056F
《6両固定編成》
運用中…13編成(78両)
8252F8253F8254F8256F8257F8258F8259F8260F8261F8262F8263F8265F8266F
廃車済…  3編成(18両)
8251F8255F8264F

となっています。6両固定編成は8264Fの不慮の踏切事故での廃車がありましたが、ここでは8000形を4両固定編成・6両固定編成ともに8編成まで減らすと仮定すると、6両固定編成は現在の数(3編成を廃車したあと)を考慮すると単純計算で5編成ほど、4両固定編成は現在の数(8056Fの廃車が済んだ前提)を考慮すると単純計算で7編成ほど(これらの数字は予想であるのであくまで参考までに)減らすことができることになります。今回は8056Fが廃車となったことで4両固定編成は単純計算により残り7編成ほど減らせます。ところがすぐに廃車させられない編成もいくつかいますので予想(抜粋)すると、

【8000形ですぐに廃車させられない編成の予想】
《4両固定編成》
8055F8060F8062F8063F…車内照明がLED化(8063Fはクハ8063のみ)
8059F8061F…リニューアル時期が最も遅く、SiCモジュール素子を採用している
8065F8066F…クヤ31形連結対応となっており、定期検測運転の際に必要
《6両固定編成》
8252F8260F8261F8262F8263F…種別行先案内表示器がフルカラーLED式
8259F…最後にリニューアルされた編成の相方として必要
8265F8266Fクヤ31形連結対応編成の相方として必要、車内照明がLED化

といった具合になるでしょうか。しかし8058F8258Fのクハ8058・クハ8558は前照灯がLEDとなっていますし(中間の先頭車はそのまま)、8055Fは照明がLED式とはいえ、相方は必然的に3000形1次車・2次車になってしまいます。8000形6両固定編成は3000形6両固定編成の予備としても機能しますから、どこまで8000形を廃車するかが難しくなってきますね。でも確実に言えることは8000形の残る編成はできるだけ多く記録したほうがいいと思います。