2018年10月3日、相模鉄道が東京急行電鉄方面への相互直通運転向けに導入した『20000系』に引き続き、今度は東日本旅客鉄道方面への相互直通運転に向けて新型車両の『12000系』を導入すると発表しました。2019年度末(2020年3月まで)に10両6編成(60両)が製造される予定です。
▲20000系(写真)に続いて登場する新型車両の『12000系』は20000系ととても似た外観となるが、前面部は能面の『獅子口』をイメージしているほか、20000系とは異なり、貫通扉をもたない非貫通先頭車となる。また車体側面部は半自動ドアスイッチが20000系と同様に旅客用扉の左側に設置される以外はE233系やE235系と同じである。12000系は前面部は20000系をベースとしてE233系に似せた非貫通、側面部は11000系、つまりE233系およびE235系ベースのものが採用されることになる。
▲20000系に引き続き12000系にも採用される『ユニバーサルデザインシート』。通常の一般座席や通常の優先席よりも座面が高いため十分注意してほしい。黄色の小さな手すりが座席に取り付けられているため、黄色のスタンションポールの設置自体が省略されている。
▲11000系の三菱電機製IGBT素子VVVFインバータ装置(11005Fのモハ11105のもの)。12000系の制御装置はなんと11000系と同じものとなる。20000系ではSiC素子を採用したが、12000系ではIGBT素子となることが判明。
今年度の相模鉄道の事業計画では10両1編成を導入することが発表されていますので、今年度に1編成(10両)、来年度に5編成(50両)を製造するものと思われます。製造先は20000系が日立製作所笠戸事業所であるのに対し、12000系は総合車両製作所(横浜事業所または新津事業所)となります。なお総合車両製作所で相模鉄道の車両が製造されるのは2012年度に横浜事業所で新造投入された11000系11005F以来、約6年ぶりのことです。
12000系の内装は基本的に20000系とほぼ同一仕様で、2016年度のグッドデザイン賞を受賞したつり革、ガラスの袖仕切り板、一部の優先席に『ユニバーサルデザインシート』、個別ドアスイッチ、車椅子兼ベビーカースペース(各車両)、(20000系で復活した)車内の鏡、空気清浄器『ナノイー』、車内Wi-Fi、車両間貫通扉、調光機能付き車内LED照明などが採用されます。また相模鉄道車両では初めてとなる車内防犯カメラと前方記録カメラ、ホームドア設置駅に対応するTASC(定位置停止装置)が新たに設置されます。運転台はグラスコックピットとなるほか、他社線への直通運転を考慮して車両システムの会社間で切り替える機能を本格搭載します。
ただし東日本旅客鉄道と相互直通運転をすることを考慮して、旅客用扉の配置は11000系およびE233系・E235系と同じとしたほか、車内LCD式旅客案内表示器は20000系とは異なり、17インチの2画面(新製当初より駅ナンバリング対応)とするほか、制御装置は20000系では日立製作所製のSiC素子VVVFインバータ制御であるのに対し、12000系ではなんと11000系と同じ三菱電機製のIGBT素子VVVFインバータ制御となります。さらに20000系で採用されたデジタルサイネージは12000系では省略されるものと思われます。ユニバーサルデザインシートは優先席だけでなく一部普通席にも採用されるほか、個別ドアスイッチの形状はE233系0番台・3000番台とほぼ同じものになるようです。車内のLCD式旅客案内表示器のデザインの変更されるものと思われ、ドアチャイムは20000系とは異なり3打式のもの、あとはドアエンジンが11000系と同じスクリュー式になるのか、E235系と同じラック式になるのかが気になるところですね。ただ直通運転や長距離走行を踏まえてリニアモータ式に変更という可能性も無きにしも非ず・・・。いずれにしても実車の登場を待つばかりです。
余談ですが、20000系が2018年度グッドデザイン賞を受賞しました。本当におめでとうございます。