2024年5月14日

【5000形久々の増備】小田急電鉄が2024年度鉄道設備投資事業計画を発表

2024年5月14日、小田急電鉄が2024年度鉄道設備投資事業計画を発表しました。今年度の投資額は約413億円です。今回も【車両面】と【設備面】に区分して紹介します。

【車両面】
▲2024年度は約2年ぶりに5000形が2編成(20両)増備される。同形式の増備は2022年12月に川崎車両株式会社で製造された5062F以来で、続番となれば5063F5064Fが登場することに。このうち1編成には新製当初から線路や架線などの鉄道設備モニタリング装置を搭載する
▲2024年度も3000形6両固定編成のリニューアル更新工事が引き続き進められ、現在入場中の3269F(旧川崎重工業5次車)を含む3編成(18両)に施工される。3次車と4次車の施工が完了したため、5次車以降の編成で進められることになる。年度最初のリニューアル更新工事施工となる3269Fは旅客用扉の交換が予想される。
▲通勤形最古参形式の8000形は5000形の増備で再び置き換えられるほか、今年度から西武鉄道国分寺線向けの『サステナ車両』として6両固定編成1本が譲渡される予定。小田急電鉄からは除籍されるが大手私鉄から大手私鉄に中古のサステナ車両が渡るのは異例だ。

車両面では通勤形最古参の8000形を置き換えるため、2代目5000形(10両固定編成)が2編成(20両)増備されます。同形式の増備は2022年12月の5062F以来で約2年ぶりで、続番の場合は5063F5064Fが登場します。このうちどちらかの1編成には東急電鉄で設置が進む線路や架線などの鉄道設備モニタリング装置が新製当初から搭載されます。東急電鉄の車両では中間付随車の1両(3020系および5000・5050系4000番台)に搭載工事を行っていますので、5000形でも3両ある中間付随車の1両(サハ5150形・サハ5250形・サハ5350形のいずれか)に搭載されるものと思われます。これらの2編成は川崎車両株式会社兵庫工場または日本車両製造豊川製作所で製造されるものと思われます。一方の3000形は6両固定編成3本(18両)のリニューアル更新工事が施工され、現在は3269F(旧川崎重工業5次車)が入場していますので残る5次車以降の2編成分(12両)がどうなるか注目されます。年度最初の施工となる3269Fでは旅客用扉の交換が実施されるでしょうね。

一方の8000形は2代目5000形の増備で置き換えられ、このうち6両固定編成の1本は新たに西武鉄道国分寺線向けにサステナ車両として譲渡される予定です。ちなみに残存する8000形で種別行先案内表示器が3色LED式のまま残るのは6両固定編成3本のみで、このタイプはいずれも廃車除籍処分となっていますので、動向に注意が必要です。今年度の譲渡は6両固定編成1本のみですので、おそらくはフルカラーLED式の編成になるでしょうか。

【設備面】
▲1日の平均利用者が10万人を超える各駅にホームドアの設置が進められ、ロマンスカーが停車駅ではロマンスカー対応の大開口ホームドアとなる。今年度は相模大野(OH28)・海老名(OH32)・中央林間(OE02)・大和(OE05)のすべてのホームに設置される予定で、相模大野ではすでに下りホームにホームドア本体が設置済みである。
▲既存の通勤形車両への車内防犯カメラ設置も進められる。4000形はワンマン運転対応工事の際に車内案内表示器の隣に千鳥配置で設置され、他形式はLED照明と一体化した車内防犯カメラ(1000形は八幡電気産業株式会社、2000形と3000形はアンデス電気株式会社のもの)に一部交換することで、運用離脱の期間を短縮している。

小田急電鉄では2032年度までに、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用して、新宿(OH01)~本厚木(OH34)間の小田原線各駅と江ノ島線の中央林間(OE02)・大和(OE05)・藤沢(OE13)にホームドアの設置を進める予定となっており(ただし新百合ヶ丘(OH23)・藤沢は大規模駅改良工事を予定)、今年度は相模大野・海老名・中央林間・大和のすべてのホームが設置対象となります。また豪徳寺(OH10)・千歳船橋(OH12)・喜多見(OH15)の各駅ではホームドアの設置に向けたホーム補強工事が行われる見通しです。ただし相模大野では下りの1番・2番ホームに未稼働のホームドア本体が設置済みとなっています。ちなみに中央林間以外の各駅はロマンスカー停車駅であることから、ロマンスカーに対応する大開口のホームドアとなる見通しです。ホームドア設置対象となった中央林間では駅舎改良工事のほか、上り2番ホームの一部拡幅工事のほか、ホームドア設置に備えて列車とホームの段差や隙間を小さくする工事が実施されます。また鶴川(OH25)と藤沢では橋上駅舎化工事に備えた基礎構築工事を予定しています。また相模大野~町田(OH27)間に架かる境川橋梁と、東日本旅客鉄道横浜線と交差する跨線橋の橋脚補強を目的とした耐震工事、さらには東林間(OE01)~相模大野間の小田原線と江ノ島線が交差する跨線橋や和泉多摩川(OH17)~登戸(OH18)間の高架橋の耐震工事を推進するほか、玉川学園前(OH26)・相武台前(OH30)・座間(OH31)ではホーム上家の耐震補強を実施します。また新松田(OH41)~開成(OH42)間の酒匂川橋梁では劣化した塗膜の塗り替えが実施されます。

また5000形5056Fの車内で起きた傷害事件を受けて、リニューアル更新工事施工の3000形とワンマン運転対応工事施工の4000形など通勤形車両32編成と特急形車両2編成に、車内防犯カメラが設置されます。通勤形車両の防犯カメラは複数種類ありますが、車内防犯カメラの映像を外からリアルタイムで確認できる仕組みの構築にも取り組む予定です。