2022年4月15日

【特に1000形に注意】2022年3月の小田急電鉄のダイヤ修正による減便で気になる車両の動向は…?

2022年3月12日に小田急電鉄でダイヤ修正が行われ、小田原線の急行列車の削減と両数変更(町田(OH27)以西は6両固定編成の急行が復活)、江ノ島線の運転系統分離(藤沢(OE13)での乗り継ぎ必須)が実施されましたが、これにより現行の保有車両60両を削減できると明らかにしています。ここで現在の運用車両のなかから動向が注目される車種を紹介します。

【1000形1754F】
▲大野総合車両所に留置されている1000形ワイドドア車の1754F。この編成の廃車解体処分は確実だ。同形式ワイドドア車は発表当初からリニューアル計画に含まれていなかったうえに2代目5000形で直接置き換える事情もあった。

まずはこのワイドドア車最後の1本となった1000形1754Fです。すでに大野総合車両所構内の解体線に近い線路上に留置されており、廃車解体処分は確実と思われます。リニューアル対象外の4両固定編成の場合もそうでしたが、廃車解体となればパンタグラフや空調装置などを撤去する作業に取りかかるはずです。いまだに動きがないですが、空調装置などの撤去作業が始まったら解体作業の開始だと思っていいでしょう。

【1000形1062F】
▲大野総合車両所の880番構内留置線に解体処分とされずに長期間留置されている1000形1062F。車番は隠された状態だが、なぜかブランドロゴマークは隠されていない。さらにはクハ1162に何らかの作業が実施されたのか、先頭部の車番のテープの色が変わっている。

続いてはダイヤ修正以前から長期間の留置が続き、動きを見せていない1000形1062Fです。1062Fは4両固定編成でリニューアル対象から外れたのか、車番を隠した状態での留置が続いています。通常の廃車解体処分となれば前面部・側面部のブランドロゴマークも隠されるか撤去されるはずですが、現在もそのまま残されています。さらにはクハ1162に何らかの作業がなされたのか、先頭車の貫通扉部分のみの車番を隠していたテープがなぜか黄色から灰色に変わっていますので、静態保存か何かを考えているのでしょうか。ちなみにこの1062Fは元東京地下鉄千代田線に直通していたことのある編成で、箱根湯本(OH51)から綾瀬(C-19)まで運転されていた『箱根駅伝応援号』にも用いられたことがあります(ただし1062Fは当時箱根登山鉄道に直通しておらず、6両固定編成のみが直通していたため小田原(OH47)から綾瀬までの運転)。

【1000形1058F・1061F(いずれもレーティッシュ)】
▲2012年からレーティッシュカラーとなっている1000形1058F。レーティッシュカラーのこの形式も置き換えられており、1059F・1060Fの2本がすでに廃車除籍処分となっている。現在は箱根登山鉄道専任のリニューアル車2本と共通運用だが、一体どうなるか。▲2009年からレーティッシュカラーとなっている1000形1061F。レーティッシュカラーとなった1000形では唯一の元東京地下鉄千代田線直通対応車であり、乗務員室内に運転台のみを仕切る扉が設置されているのが特徴だ。レーティッシュカラーになってから約13年となるが今後の動向が気になる車両のひとつである。

続いては2012年からレーティッシュカラーをまとう1000形1058F・1061Fです。2代目の3000形を含む6両固定編成の箱根登山鉄道直通列車がなくなった2008年の約1年後のダイヤ改正に向けてレーティッシュカラーの1000形が登場し、1059F・1060F・1061Fの3編成が登場しました。これに1058Fが加わったのはその3年後で、それ以降は箱根登山鉄道を中心とした運用に充当されています。なおレーティッシュカラーの1000形は1編成もリニューアルされておらず、むしろ2代目5000形の追加投入などで1000形4両固定編成のリニューアル車が箱根登山鉄道運用に投入されたことで1059F・1060Fの2編成が廃車となり(実際1059Fは1051Fに代替されたが、その1051Fも昨年に廃車となった)、現時点で1058Fと1061Fが残存しており、箱根登山鉄道専任となったリニューアル車の1063F・1064Fと共通運用されていますが、平日・土曜休日ともに111運用(夜間のみ)と114運用(朝のみ)を兼ねることができるようにしているため、1058F・1061Fの動向が注目されています。

【1000形1251F・1253F・1254F(いずれも6両固定編成)】
▲ワイドドア車ではないが動向に気をつけたい1000形1251F。6両固定編成ではそのままにリニューアルされた編成はいない。実際の動きからしても6編成のうち3編成は10両固定編成の一部に改造されている(1095Fの下り方6両・1096Fの下り方6両・1097Fの下り方5両)。

続いては1000形1092F(10両固定編成)のリニューアル更新工事完了で動向が注目されるのが1251F・1253F・1254Fの3編成です。ワイドドアではないためリニューアル…?と思っていたのですが、元1081Fの先頭車・中間車6両や1054Fの廃車除籍処分を皮切りに同形式のリニューアル更新工事が4両固定編成・10両固定編成に限定され、元6両固定編成はいずれも10両固定編成の一部となっており、1000形のリニューアル自体も1092Fで終了という状況になっていますので、6両固定編成のまま残った3編成はリニューアル対象外となった可能性があり、全体的なA運用の整理と削減も絡んでいますので、動向が注目されています。このうち1251Fは昨年廃車となった1051Fと組んで特別団体専用列車に使用されたほか(これが1000形の最後の“ブツ10”の姿である)、1254Fはレーティッシュカラーで廃車となった1059Fと組んで2020年8月限定で10両編成のE運用にも使用されたことがあります。これらの編成はA運用に充当されているため、タイミング次第で6両固定編成の急行運用に入ることも当然あります。3月12日は1754Fも1往復だけ急行運用に入っていたことがあるので、これらの急行運用も記録しておきたいところです。

今回紹介した車両は一部ですが、5000形5060Fの営業運転投入により、箱根登山鉄道運用も3編成目のリニューアル車が絡むと1058F・1061Fにも動きが出そうです。なお8000形ではリニューアル更新後は箱根登山鉄道運用に入った編成はいませんが(仮に代走で使用の場合はその限りではない)、予備を含めてどういう車両のやりくりをして車両を削減していくのか注視が必要になってきますね。ただし今回紹介した車両のなかでは休車中の1062Fを除くと、残り6両2編成と4両4編成ということになりますが、残りはすべて8000形となるのでしょうか。現役最古参の通勤形は8000形ですので(1983年製造、今年で製造から40年近く)、注意が必要になるかもしれません。