2019年4月26日、小田急電鉄が2019年度における鉄道事業設備投資計画を発表しました。今年度の投資額は昨年度(約336億円)よりも低めの約327億円となります。【車両面】と【設備面】を中心に見ていきましょう。
【車両面】
▲車両面では2007年に登場した4000形電車(写真)以来、約12年ぶりに新型車両が導入される。形式名は『5000形(2代目)』で、往年の主力車両であり2012年3月に引退した5000形(初代)と区別するため、2代目の5000形を名乗る。
▲1000形は引き続きリニューアル更新工事が実施される。昨年度は1067Fと1093Fの14両に施工された。今年度は具体的な施工両数は公表されなかったが、2編成(うち1編成目の1094Fは確実)のリニューアルが予定されている。
▲1000形10両固定編成は1094Fのリニューアル入場で未更新はついに1092Fのみに。
▲ロマンスカー『EXE』30000形は引き続きリニューアル更新工事(『EXEα』化)が実施され、1編成に施工される。昨年度は先に重要部検査を通した30053F+30253Fが飛ばされ、30054F+30254Fに施工された。今年度は30055F+30255Fへの施工が予想される。
車両面では2007年に老朽化が進行していた5000形(初代)および1000形の東京地下鉄千代田線直通対応編成(4両固定編成+6両固定編成、10両固定編成)の置き換え用として登場した4000形以来、約12年ぶりに新型車両『5000形(2代目)』を導入することが発表されました。今回の同形式は2012年に引退した5000形(初代)と異なり、先頭車を流線形の非貫通構造で1編成あたり10両を組成し、編成定員は先頭車(2両)が144名、中間車(8両)が155名の計1528名となります。導入数は2020年度(2021年3月)までに10両6編成(60両)を予定しており、今年度では10両1編成(10両)、2020年度に10両5編成(50両)が導入される予定です。2代目の同形式は総合車両製作所(横浜事業所)および川崎重工業兵庫工場で製造され、前面部および側面部の帯はアズールブルーとインペリアルブルーが採用され、『より広く、より快適に』をキーワードに車内空間の広さ、明るさ、安心感、優しさを追求したデザインとなっています。同形式は拡幅車体が採用され、外観デザインは価値観の変化にとらわれないシンプルデザインとなります。また車両間貫通扉および座席上部の荷棚に大型ガラスを用いることで明るさと開放感が生み出されます。車内の座席モケットの色は一般座席が橙色、優先席が青色となるようです。車内照明や前照灯はすべてLED式となり、案内装置は17インチワイドの車内LCD式旅客案内表示器が2画面配置され(『小田急TV』対応)、各車両にはフリースペース(車椅子兼ベビーカースペースが1ヶ所)と新製の通勤形車両では初めての車内防犯カメラ(4ヶ所)が設置されるようです。制御装置にはSiC素子VVVFインバータ制御が採用され、空気清浄機が各車両に8台設置されるようです。また同形式では車両が異常な動きを検知した場合に自動的に緊急停止させ被害を防止する装置、大容量データを地上に伝送可能な次世代型車両情報管理装置とそれに対応する車上装置を搭載します。
1000形では具体的な両数は公表されませんでしたが、今年度は2編成のリニューアルを予定しており、1編成は現在入場中の1094F(10両固定編成)が確実です(昨年度は1067F・1093Fの2編成でした)。残る1編成は4両固定編成となるのか、それともそれ以外の6両固定編成・8両固定編成(1081F)となるのかが注目されます(10両固定編成の1092Fは重要部検査を通しているため、次回に持ち越し)。ロマンスカー『EXE』30000形は1編成のリニューアルを予定しており、今年度は30055F+30255Fが対象になるものと予想されます(昨年度は30053F+30253Fが先に重要部検査を通していたこともあり、それが飛ばされて30054F+30254Fが対象になりました)。
【設備面】
▲保存したロマンスカーを展示して2021年に開業する『ロマンスカーミュージアム』の建設予定地。今年度は施設建物の建築に入る。
▲設備面では参宮橋(OH03)(写真)、向ヶ丘遊園(OH19)、片瀬江ノ島(OE16)の各駅のリニューアル工事、下北沢(OH07)の駅舎改良工事が予定されている。片瀬江ノ島では竜宮を模した駅舎が3月中に姿を消しており、本格的な竜宮造りの駅舎建設工事に入る。
設備面では昨年度までに輸送力増強のため代々木上原(OH05)~梅ヶ丘(OH09)間の複々線化工事が終了したため、今年度は法面改修工事、ホームドア設置工事、駅舎リニューアルや改良工事などが予定されています。ホームドアは今年度ではホーム安全柵に代わり一足早く設置された東北沢(OH06)のほか、代々木上原(1番・4番ホーム)、世田谷代田(OH08)、梅ヶ丘の各駅への設置を予定しています。また法面改修工事では2度にわたって線路陥没が発生した愛甲石田(OH35)~伊勢原(OH36)間と東海大学前(OH38)~秦野(OH39)間での工事が予定されているほか、新百合ヶ丘(OH23)付近のトンネル(上りのみ)の耐震補強工事、愛甲石田、小田急多摩センター(OT06)の駅天井補強工事が予定されています。