2022年8月16日

【1区間乗車で最低500円】小田急電鉄、2022年10月1日から有料特急ロマンスカーの料金を改定(値上げ)へ

2022年8月15日、小田急電鉄が小田原線・江ノ島線全線と乗り入れ先路線で運転される有料特急ロマンスカーの快適な移動サービスを将来にわたって提供していくため、同年10月1日(の特急券発売分)より、東京地下鉄千代田線内を含む全区間における特別急行料金の改定と『チケットレス特急料金』の導入を併せて発表しました。これによって1995年以降に消費税導入や増税による転嫁分(の値上げ)を除き、利用促進策の実施や効率的な運営により低水準に据え置かれていたロマンスカーの乗車料金の値上げが行われることとなります。
▲現行ダイヤで定期営業運転に使用されるロマンスカーは写真上から“EXEα”30000形(写真は30051F+30251F)、“MSE”60000形(写真は60052F+60251F)、“GSE”70000形(写真は70051F)の3形式だ。このうち30000形にリニューアル更新工事が見送られている編成が2本ある(“EXE”として残る30055F+30255F30057F+30257F)。

これまで特急ロマンスカーは新型車両導入(2018年の“GSE”70000形の投入)による魅力向上や東京地下鉄千代田線に乗り入れるネットワークの拡充(2008年の“MSE”60000形の導入)、オンラインシステムでの予約導入・更新などによって上質かつ利便性の高いサービスを提供してきましたが、特急料金は1995年以降導入された消費税とその増税による転嫁分(による値上げ)を除いて利用促進策の実施や効率的な運営により低水準に据え置かれていました。2020年度以降に新型コロナウィルスが拡大し、これまでと打って変わって環境が大きく変化しました。このため車内サービスの見直し(“EXE”から“EXEα”へのリニューアル更新工事による座席数削減および荷物置き場の設置、車内販売の全列車廃止など)やダイヤ変更(平日朝ラッシュ時の増発や終電間際の運転本数の削減など)の効率化を図ってきました。ですがこの先もハイグレードな特急形車両を用いた全席指定制の快適な移動サービスなどを維持するため、今回の特急料金改定に至るわけです。なお現在の7区分における特急料金適用は2022年9月30日の終電までに1ヶ月先(同年10月30日運転分)までの特急券を購入した場合のみ(例・2022年9月30日に10月以降に乗車予定列車の新宿~小田原間の特急券を購入した場合は910円になる)で、9月中にオンラインサービスで予約した場合でも、10月以降に特急券を受け取る場合は新たな4区分における特急料金(例・9月30日までに予約した新宿~小田原間の特急券を10月1日以降に駅窓口や券売機で受け取る場合は1,000円)が適用されるので十分にご注意願います。ちなみに10月1日からMaaSアプリ“EMot”、EMotオンラインチケット、“e-Romancecar”、『ロマンスカー@クラブ』といったオンラインサービスで特急券を予約し購入した場合は新たに『チケットレス特急料金』を導入することにより、特急料金が通常よりも50円安くなります。

今回の特急料金改定では乗車距離(単位・km)に対する特急料金区分を現行7区分から4区分に整理して、①新宿(OH01)~相模大野(OH28)間②新宿~本厚木(OH34)・大和(OE05)間③新宿~秦野(OH39)・片瀬江ノ島(OE16)間④新宿~小田原(OH47)間に分けて特急料金を設定し分かりやすくしています。なお新宿~箱根湯本(OH51)間では④の新たな特急料金に箱根登山鉄道区間での特急料金(小田原~箱根湯本間の特急料金200円)を加算した1,200円となります。また特急券を持たずにロマンスカーに乗車した場合の追加料金も同時改定され、自社線内は310円から350円とし、東京地下鉄千代田線にまたがる場合は410円から450円となります。なお基本的には特急券は乗車前に購入することを強く勧めます。

自社線内のみの特急料金を見てみると、新宿~新百合ヶ丘(OH23)・相模大野間では500円、新宿~海老名(OH32)・本厚木間と新宿~大和間では650円、新宿~伊勢原(OH36)・秦野・松田(CB04)(東海旅客鉄道御殿場線の駅)間と新宿~藤沢(OE13)・片瀬江ノ島間は750円、新宿~小田原間は1,000円となります。なお松田は東海旅客鉄道御殿場線の駅ですが、運賃計算上は新松田(OH41)と同一駅扱いであるため、自社線内のみと同じ扱いになり、特急料金は新宿~松田間では750円となるわけです。その先の駿河小山(CB08)・御殿場(CB10)まで乗車となる場合は新宿~松田間の新たな特急料金に御殿場線内の特急料金(御殿場線内のみの乗車でも通常期の特急料金860円で、閑散期は線内特急料金-200円、繁忙期は線内特急料金+200円)が加わることで新宿~駿河小山・御殿場間は通常期で1,610円となります。また千代田線に跨る列車(主にメトロモーニングウェイ・メトロはこね・メトロえのしま・メトロホームウェイ)の場合は自社線内(成城学園前(OH14)~箱根湯本・片瀬江ノ島間)の特急料金に千代田線内の特急料金(360円)が加算されたものとなります。なお公式ホームページ内のニュースリリース及びインフォメーションのところから分かることですが、自社線内だけでたった1区間の短距離乗車であっても特急料金は最低でも500円はかかることをご留意ください。今回の特急料金の改定に伴って本厚木~小田原間(現行は520円)、相模大野~片瀬江ノ島間、新百合ヶ丘~大和間(いずれも現行は310円)のみに適用されていた特定特急料金は廃止となりますのでご注意。

個人的には全体的な値上げが目立ちますが、やや分かりやすい特急料金にはなりましたね。区間によっては最大で190円の値上げとなっています。私の地元の場合は特急料金が630円から750円ですので、120円の値上げとなります。場合によっては500ml~600mlのペットボトル1本分以上の金額を捻出する必要があるでしょう。私も定期営業運転終了前の1月下旬に“VSE”50000形に乗って以来、ロマンスカーに乗っていません。今後も快適に着席できるロマンスカーに乗り続けられるよう、協力できればいいなと思っております。