2021年4月29日

【5000形増備は…?】小田急電鉄が2021年度鉄道設備投資事業計画を発表

2021年4月28日、小田急電鉄が2021年度鉄道設備投資事業計画を発表しました。今年度の投資額は約254億円です。今回も【車両面】と【設備面】に区分して紹介します。

【車両面】
▲(イメージ)ロマンスカー“EXE”30000形。同形式のリニューアルの言及はなかったが、1編成に施工される可能性はある。茶色の車体で残るのは30055F+30255Fと30057F+30257F(写真の編成)のみだ。
▲(イメージ)今年度も増備が発表された2代目5000形。今年度は4編成(40両)の導入となり、5056Fが今年度分の扱いかは不明だが、5057F・5058F・5059Fは確実に登場する。このうち5057Fは日本車両製造豊川製作所で製造され、5000形では初の日本車両製造豊川製作所製の編成が出場予定だ。
▲(イメージ)大野総合車両所に入場中の1000形1092F。同形式へのリニューアル更新工事は2編成に施工される。元1055F+元1255Fから改造の1097Fが含まれているかは不透明だが、入場中の1092Fは確実に今年度分の対象である。今後の動向がやや読めないのはホームドア対応のQRコードを貼付されていてリニューアルされていない1062Fだろうか。
▲(イメージ)昨年度から大規模改造が実施された1000形1097F。種車は3編成で2両連続する付随車は元1081F、上り方3両は元1055F、下り方5両は元1255Fからの改造である。

車両面ではロマンスカー“EXE”30000形のリニューアル(“EXEα”化)には言及がありませんでしたが、今年度分も1編成への施工が予想されているほか、1000形は2編成のリニューアルを予定しています。元1055F+元1255Fの1097Fが昨年度分の扱いか、今年度分の扱いかは分かりませんが、現在入場中の1092Fは今年度分とみるのが適切だと思います。ただ読めないのは1000形1062Fで、現在1752F(ワイドドア車)とともに休車の状態となっているようですが、1752Fとは異なりホームドア対応のQRコードは貼付されています。廃車を前提とするならばホームドア対応のQRコードが貼付される必要はないはずです。しかし休車前の直近だと1000形1251F(6両固定編成)と連結して10両編成で運用されていたので、その関係で貼付されていた可能性はありそうですが、今後の状況が気になるところではあります。1062Fの動向次第では1000形のリニューアル更新工事がもしかすると最後になるかもしれませんね。5000形は今年度分は4編成が増備され(5056F~5059F、そうでなければ5057F~5060F)、1000形ワイドドア車とリニューアルされていない4両固定編成の一部を置き換えるものと思われます。5000形では初めてとなる日本車両製造豊川製作所製造の編成(そのトップは5057F)が登場します。4編成の投入で1000形ワイドドア車は置き換えられることが予想されますが、ノーマルドアの残り3編成が読めませんね。

【設備面】
▲車両の一部旅客用扉に貼付されているホームドア対応のQRコード。これを読み取ることでホームに車両がかかっている箇所のホームドアだけ開き、かかっていない箇所のホームドアは閉まったままの仕組みとなっている。

設置が進められているホームドアは今年度は新宿(OH01)の8番ホーム・9番ホーム(各駅停車が主に発着するホーム)、登戸(OH18)の3番・4番ホームに設置されます。いずれもホームドア対応のQRコードが車両の一部旅客用扉に貼付されているため、このQRコードを読み取ってホームドアを開閉するシステムが導入されるようです。新宿では地上の4番・5番ホームと地下の8番・9番ホームでホームドアの開閉システムが異なることが予想されます。なお2022年度以降は町田(OH27)・相模大野(OH28)・海老名(OH32)・本厚木(OH34)(すでにホームドア設置準備に向けた痕跡を確認)・中央林間(OE02)・大和(OE14)の各駅への設置予定となりますが、本厚木ではすでに設置準備工事が始まっているようです。このうち来年度にホームドア設置となる中央林間では新たに1番ホームに直結する東口改札を設置し、今年秋からの供用を予定しています。これにより同駅北東側のアクセス向上や連絡通路の混雑緩和が期待されています。現行では駅北口を利用することが多いと思いますが、今年秋ごろからは東口改札が誕生しますので、中央林間から江ノ島線下り列車に乗るときは非常に便利になりますね。ホームの10号車寄り(車椅子専用通路のある場所)が改札口の設置場所になるでしょうか。

また法面改修や橋梁の耐震補強工事なども進められ、昨年度に引き続いて愛甲石田(OH35)~伊勢原(OH36)間、東海大学前(OH38)~秦野(OH39)間の法面の強度向上を図る改修工事が実施されます。特に愛甲石田~伊勢原間は2度の陥没があった区間でもありますし、東海大学前~秦野間は途中にトンネル区間があるほか、過去に土砂崩れがあった区間でもあります。私も通らない区間ではないので、法面強度の工事はぜひとも徹底的にやっていただきたいと個人的には思っております。また多摩線では雨量が比較的多い多摩市など郊外の都市を走るため、排水設備の整備が実施されます。橋梁の耐震補強工事は今年度は新たに町田~相模大野間と渋沢(OH40)~新松田(OH41)間で実施されます。後者は小田急電鉄のなかでは1区間の距離が最も長いですし、水無川などが流れていますから橋梁の数も少なくはありませんね。ロマンスカーを含めて小田原線新宿方面から新松田以西に発着する列車が必ず通る区間でもありますので、集中的にやっていただきたいと思っております。