2022年12月31日

【2022年の総まとめです】2022年の鉄道を振り返ります

2023年(令和5年)まであと少しになりました。そこで今回は2022年(令和4年)に起きた鉄道の動きを1月から振り返ります。2022年は鉄道開業150周年ということで、様々なイベントが有料で数多く開催された年でもありました。ここでは私が特に印象的なものを中心に抜粋し紹介させていただくことをご理解ください。

【1月】小田急電鉄ロマンスカー『ニューイヤーエクスプレス』が約2年ぶりに運転
▲2021年1月1日は『ニューイヤーエクスプレス』『メトロニューイヤーエクスプレス』の運転が取りやめとなったが、2022年1月1日は同年3月での定期営業運転の終了が発表されたばかりの“VSE”50000形を使用して『ニューイヤーエクスプレス』のみ運転された。

1月1日に新宿(OH01)発片瀬江ノ島(OE16)行きの臨時特急『ニューイヤーエクスプレス』がロマンスカー“VSE”50000形50001Fを使用して運転されました(0801レ・江0605←宿0450のダイヤ)。相模大野(OH28)から先の江ノ島線内では自動放送も使用されました。2021年12月に同形式が定期営業運転を終了することを発表した直後とあり、この特急券は争奪戦になったものとみられます。

【1月】東武鉄道50000系51009Fがスカイツリーライン系統で営業運転に
▲長らくスカイツリーライン系統に残っていた30000系31609F+31409Fとトレードの形で東上線系統からスカイツリーライン系統に転属した50000系51009F。転属時に列車番号表示器が搭載されたが51008Fの3色LED式に対してフルカラーLED式とされた。

1月には東上線系統からスカイツリーライン系統に転属した50000系51009Fが営業運転を開始しました。前回の51008Fとは異なり列車番号表示器がフルカラーLED式(表示は緑色)とされ、視認性が向上しましたが異彩を放っています。スカイツリーラインの50000系列に元東上線の2編成が混ざっているのが面白いですね。なお50000系51009Fとトレードで東上線に転属したのがスカイツリーライン系統に唯一残っていた30000系31609F+31409Fでしたね。

【1月】相模鉄道20000系20107F(10両固定編成)が東急電鉄に貸し出される
▲東急電鉄への貸出のため反射板を取り付けて牽引となる電気機関車(EF210形110号機)を待つ20000系20107F。自社路線以外であの濃紺の車両はインパクトがある。

1月は2023年3月のダイヤ改正における相模鉄道本線・新横浜線と東急電鉄新横浜線・東横線・目黒線との相互直通運転に備えた乗務員訓練のため、20000系20107F(10両固定編成)が貸し出されました。昨年は8両固定編成の21101Fが貸し出されたため、10両固定編成ではこれが初めてのことです。乗り入れ先路線の東横線・目黒線車両が集う元住吉検車区のほか東京地下鉄和光検車区に貸し出されたようです。

【2月】東日本旅客鉄道のハイブリッド試験車FV-E991系“HYBARI”が登場
2月には東日本旅客鉄道烏山線向けのEV-E301系(宮ヤマ)をベースに南武線支線と鶴見線で試験するための車両、FV-E991系“HYBARI”が登場しました。所属は鎌倉車両センター中原支所(横ナハ)で南武線支線と鶴見線で試験走行するための車両となっています。塗装全体が青色系統のためかなり目立ちますね。号車番号がありロングシートが備えてあるなど、営業運転投入向けと思われるかもしれませんが、通常の営業列車では使用しません。なお2両ともパンタグラフを搭載していないため、厳密には『電車』ではありません

【2月】小田急電鉄クヤ31形+8000形8065Fによる定期検測運転を開始
▲2022年初の定期検測運転の電源供給車に充当された8000形8065F。なお架線検測の有無はクヤ31形のパンタグラフの上昇具合から判断できる。

2月には8000形8065F(電源供給車両)とクヤ31形を使用した定期検測列車が全線で2日間に分けて運転され、年内最初の検測運転となりました。昨年は廃車除籍処分となった1000形1051Fに代わって8000形8066Fが電源供給車に充当されていたため、8065Fの充当は今回が初めてとなりましたね。これ以降は8065F8066Fのどちらかがクヤ31形の電源供給車として検測運転に同伴することとなります。

【2月】東日本旅客鉄道相模線の205系500番台、ダイヤ改正を前に定期営業運転を終了
▲相模線の電化開業時から205系500番台がダイヤ改正の1ヶ月以上前にひっそりと定期営業運転を終えた。4月からは一部編成の廃車解体処分が開始されている。

2月には東日本旅客鉄道相模線の電化開業時から使用されてきた205系500番台がダイヤ改正を待たずして全13編成が運用を離脱、ひっそりと定期営業運転を終了しました。新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から引退記念ヘッドマークは205系600番台(宮ヤマ)とは異なり掲出されませんでした。このダイヤ改正では相模線はE131系500番台(12編成のうち2編成は線路モニタリング搭載の580番台)への統一とワンマン運転の導入、横浜線との直通運転取りやめがありました。

【3月】東京都交通局10-300形8両固定編成の廃車除籍処分が開始される
▲廃車除籍処分が開始された10-300形2次車。8両固定編成のまま残っている10-440Fまでの8編成64両が10両固定編成の6次車に置き換えられた。

3月には東京都交通局10-300形2次車の8両固定編成の廃車除籍処分の話題です。2022年度に新宿線の全列車を10両編成で運転することに伴う動きで、その代替として同形式6次車が導入されています。その6次車導入で2次車の8両固定編成が置き換えられ、最初に10-370Fが廃車除籍処分となりました。2次車の代替で導入された6次車は基本的に5次車の基本仕様を踏襲していますが、ドアエンジンがスクリュー式からラック式に変更されたほか、フリースペース全車両設置および車内防犯カメラを最初から設置するなどの仕様変更があるため、6次車となっています。8両固定編成で最後まで残ったのは10-420Fであり、8月10日に定期営業運転を終え、廃車除籍処分となっています(後述もあり)。

【3月】各鉄道会社ダイヤ改正の話題
▲2005年3月の就役から約17年とロマンスカー“LSE”7000形の半分にも満たない年数で定期営業運転を終了したロマンスカー“VSE”50000形。アルミ合金押出形材によるダブルスキン構造や連接台車・車体傾斜制御といった特殊構造が車両更新計画に影響した。ただし2020年に検査を通しているため、2023年秋までは特別団体専用列車などで使用される。
▲相模線全線・日光線全線・川越線南古谷~高麗川間・八高線高麗川~八王子間・宇都宮線小山~黒磯間でワンマン運転が導入された。これによりこれらの各駅では駅設置の発車メロディが聞けなくなったほか、車掌が乗務しなくなった。

3月には各鉄道会社でダイヤ改正が実施されました。小田急電鉄では2005年3月に就役したロマンスカー“VSE”50000形(50001F50002F)が約17年間にわたる定期営業運転を終了したほか、江ノ島線は藤沢(OE13)で運転系統が分断され(ただしロマンスカーと早朝深夜の一部各駅停車、急行1本で直通列車が残る)、藤沢と片瀬江ノ島を往復する江ノ島線シャトル運用(2運用)が誕生したほか、小田原線は町田(OH27)・相模大野(OH28)以西で6両固定編成単独による急行列車(途中の新松田(OH41)以西は各駅停車になる)の復活などがありました。日中時間帯の小田原線相模大野以西は大半の優等列車が新松田で種別変更する列車となったほか、土曜休日では小田原(OH47)・新松田発着~新宿発着の10両編成による急行は朝方の下りと深夜の上りのみとなりました。一方では東日本旅客鉄道宇都宮線(小金井~)宇都宮~黒磯間、日光線、相模線、川越線・八高線でのワンマン運転開始、特急『湘南』の大崎(JA-08,JS-17)への停車開始などが挙げられます。京王電鉄では『準特急』という種別が停車駅を追加変更した『特急』に統合されて消滅しました。一方の東海旅客鉄道ではダイヤ改正を前に中央本線で315系0番台(海シン)の営業運転が開始されていて、211系の廃車と313系の転属が進められました。なかでも元セントラルライナーの313系8000番台は全6編成(18両)が神領車両区から静岡車両区に転属し、東海道本線(代走では御殿場線など)で異彩を放っています。

【3月】小田急電鉄1000形10両固定編成の非リニューアル車が消滅
▲1000形10両固定編成で最後の非リニューアル車だった1092Fが大野総合車両所に入場、リニューアル更新工事を受けたことで10両固定編成の非リニューアル車は消滅した。
▲1000形1092Fの入場と前後して元1055Fの3両、元1081Fの付随車2両、元1255Fの5両を活用した1097Fが登場している。この編成の改造に伴って余剰車8両が廃車された。

3月には小田急電鉄1000形10両固定編成で最後の非リニューアル車両であった1092Fが大野総合車両所にリニューアル更新工事と検査を兼ねて入場しました。このために10両固定編成の非リニューアル車両が完全に消滅しました(このときにはまだ4両固定編成・6両固定編成の非リニューアル車両が残っていた)。なおこれと前後して昨年度から元1055Fの上り方3両、元1081Fの付随車2両、元1255F下り方5両を用いて改造された1097Fが登場しましたね。なお1000形のリニューアル更新工事はこの1092Fをもって終了しており、リニューアルの対象外となった編成がすべて廃車除籍処分となっています。

【4月】東日本旅客鉄道E235系1000番台にコストカット仕様の編成が登場

▲鎌倉車両センター向けに増備が進むE235系1000番台に2022年度からコストカット仕様の編成が登場している。これまでのE233系の仕様をE231系の仕様に変更し(旅客用扉の両脇や座席上部の荷物棚など)、車両間貫通扉を化粧板仕上げからステンレス仕上げにするなどしてコストを抑えている。

4月にはE235系1000番台に初めてコストカット仕様の編成(横クラF-14編成・クハE235-1014以下11両)が登場しました。これは新型コロナウィルスの影響による半導体不足などによるもので、これまでのE233系仕様からE231系仕様のものが取り入れられており、ある意味で車内仕様が『退化』したと思うファンも少なくありません。外観上では信号炎管と呼ばれる屋根上部の煙突のような部分に火を灯して信号を発するものですが、それが省略されたほか内装では車両間貫通扉や旅客用扉両脇の仕上げ変更(半自動ドアスイッチの構造変更)、座席上部の荷物棚のパイプ仕様への変更などが挙げられます。その約2ヶ月後にはコストカット仕様の付属編成(横クラJ-14編成・クハE235-1114以下4両)が登場し、以降は基本編成・付属編成ともにその仕様で落成しています。

【4月】東急電鉄、グループ100周年記念のラッピング電車が登場
▲東急グループ100周年を記念して、田園都市線では2020系2122F、東横線では5000・5050系0番台5151F、目黒線では3020系3121F(8両固定編成)にラッピングされている。

4月には東急電鉄でグループ創立100周年を記念したラッピング電車が登場しました。最初に登場したのは3020系3121F(8両固定編成)ですが、ラッピング電車登場時は付随車を抜いた6両固定編成であったため、8両固定編成に増強された際には予備車となっていた中間付随車にもラッピングされ、現在は同系列の全3編成が8両固定編成で走っています。東横線では5000・5050系トップナンバーの5151F、田園都市線では2020系の最初に登場した3編成のうちの1編成(2122F)に施工されており、約1年間運転されます。なお池上線・多摩川線でも7000系7110Fを使用して運転されていますが、外観上はラッピングはされていません(車内広告を100周年仕様にしたのみ)。

【4月】東京地下鉄7000系最後の7134Fが引退、完全消滅に
▲もともと10両固定編成で登場したものの、8両固定編成に短縮され副都心線専任だった7000系7134Fが和光検車区新木場分室に回送され帰らぬ旅へ。これで7000系は完全消滅となったが、10両固定編成の7101Fが保存されている。

4月には東京地下鉄7000系で最後まで残っていた8両固定編成の7134Fが和光検車区新木場分室に自走回送されて廃車除籍処分となり、7000系が消滅しました。2018年の東京地下鉄6000系6102Fのラストランイベント時の騒動を教訓にひそかに引退させたものと思われます。なお和光検車区新木場分室には引退騒動の当該車両となった6000系6102Fと7000系7101Fが保存されています。

【4月】西武鉄道旧2000系2007Fが引退、廃車除籍処分に
▲南入曽車両基地所属の旧2000系最後の8両固定編成であった2007Fが引退となり、ついに廃車除籍処分になった。40000系50番台ロングシート車(武蔵丘車両基地所属)の追加投入に伴って池袋線から2000系が玉突き転属することで老朽化が進む同系列を置き換えた。

4月には西武鉄道新宿線・拝島線・多摩湖線で活躍した旧2000系2007Fがラストランを迎え廃車除籍処分となりました。早い段階で種別行先案内表示器が3色LED式から幕式に戻されていたため、引退が迫っているものと思われましたが、台湾鉄路管理局とのコラボレーションである“LAIMO”ラッピング電車などを経て、2022年4月についにラストランを迎えました。なお旧2000系は先に廃車除籍処分となった2001Fのクハ2001が保存されていますが、これ以降も2000系の廃車に伴う動きが活発化していますね。

【5月】横浜市交通局4000形4621Fが営業運転を開始
▲3000形5次車(3000V形)が増備されなかった代わりに新形式の4000形4621Fがデビューした。2019年の脱線事故で3000形2編成(3381F3531F)を失っており、それらの補填分の増備がありそうだ。

5月には横浜市交通局ブルーラインの新型車両4000形4621Fがデビューしました。脱線事故が起こる前までは3000形5次車(3000V形)を増備して同形式1次車(3000A形)を置き換えることとなっていましたが、小田急電鉄や京王電鉄での車内殺傷事件を受けて新製車両に防犯カメラを設置することとしたほか、脱線事故に巻き込まれた編成の補填が必要なことから、結局は新形式車両(4000形4621F)の新製とされました。なお4000形はすでに4編成目の4651Fまでが登場しています。

【5月】日本貨物鉄道吹田機関区所属のEF66形0番台27号機の定期運用終了を発表
▲『ニーナ』の愛称で親しまれている日本貨物鉄道吹田機関区所属のEF66形0番台27号機。定期運用自体は終了したものの、時折関東エリアに顔を出すことがあった。

5月には日本貨物鉄道EF66形0番台27号機の定期運用終了が正式にアナウンスされました。しかし27号機の人気は相変わらず根強く、不定期ながら関東エリアに顔を出すことがありましたね。私も定期運用終了前に何度か見かけたことがありました。30号機が廃車除籍処分となって以降、27号機の動向が注目されています。まだ解体されずに活躍していたことがすごいです。

【5月】東急電鉄8500系最後の赤帯車である8631Fが廃車除籍処分に
▲田園都市線8500系の最後の赤帯車、8631Fが廃車除籍処分となった。これで残る8500系は青帯車で“Bunkamura号”の8637Fだけとなった。
▲2020系の最後の編成である2150F。総合車両製作所新津事業所で製造された。この編成の登場をもって現時点で2020系列(3020系・6020系を含む)の製造は終了している。

5月には8500系最後の赤帯車である8631Fが引退し、廃車除籍処分となりました。これは2020系ラストナンバーの2150Fが総合車両製作所新津事業所から所属先の長津田検車区に搬入されたことに伴うものです。これで青帯車の8637Fだけが残り、基本的に平日のみ運用されています。注目が集まっている車種なだけに撮影の際は十分に気をつけましょう。定期運用終了まであと少しです。8637Fは“Bunkamura”ラッピングをされたまま廃車になるのでしょうか。これとほぼ同じタイミングで小田急電鉄1000形ワイドドア車で最後まで残った1754Fが廃車除籍処分となりましたね。

【6月】東日本旅客鉄道185系0番台宮オオC1編成が6両固定編成に組成される
▲ストライプ塗装の185系0番台で初の6両固定編成が組まれた宮オオC1編成。中間付随車を別のC編成から抜き取った中間電動車に差し替え、200番台宮オオB6編成と同じ6両固定編成に組成された。一度だけストライプ塗装で団体専用列車に使用されたあと、新幹線リレー号の塗装に復刻された(新幹線リレー号の塗装の時の番台は違うが)。
▲相変わらず団体専用列車に使用される機会が多い200番台宮オオB6編成。これ以降も有料イベントでの撮影会など185系のなかでも大忙しだ。

6月には185系0番台で初の6両固定編成が登場し、宮オオC1編成が中間付随車のサハ185-1を抜き取り、宮オオC2編成の中間電動車1ユニット(ハイフン以下8)が組み込まれています。余剰となった宮オオC2編成の両先頭車と宮オオC1編成宮オオC2編成の付随車は廃車解体処分されました。C編成は5両固定編成が消滅したものの6両固定編成が登場するという意外な展開となりました。宮オオC1編成は一度ストライプ塗装のまま、団体専用列車に使用されましたが、そのあとは200番台がまとっていた新幹線リレー号に復刻され、185系の残る全編成を横並びにした撮影会では新幹線リレー号塗装の宮オオC1編成が中央に展示されていました。

【6月】相模鉄道20000系8両固定編成(21000系)に編成識別番号と両数表記
▲20000系8両固定編成に編成識別番号と両数表記が追加された。編成識別番号は数字3桁で表記され、10両固定編成にも波及した。両数表記は8両固定編成のみ追加されている。

6月には20000系8両固定編成で編成識別番号と両数表記の試験が実施され、21102Fのクハ21802の列車番号表示器下部に編成識別番号、運転席窓の右上部に両数表記が追加されていました。試験当時は21102Fの編成識別番号が21101Fの“101”となっていましたが、8月の正式な追加の際に修正されたものと思われます。編成識別番号は数字3桁表記とされ、10両固定編成では001から007、8両固定編成では100が追加され、101からとなっています。

【6月】鉄道150周年で賑わうなかでも相次ぐ鉄道車両の廃車に伴う動き
▲小田急電鉄ではレーティッシュカラーの1000形1061F(4両固定編成)、東京都交通局6300形、東日本旅客鉄道では205系500番台、185系0番台宮オオA7編成、E217系横クラY-3編成、東武鉄道では200系251Fなど、様々な車両が旅立った。

6月には様々な鉄道車両の引退や廃車が相次いでいます。小田急電鉄では箱根登山鉄道区間で活躍したレーティッシュカラーの1000形1061F(4両固定編成)、東日本旅客鉄道E217系では2015年3月まで東海道線でも活躍した横クラY-3編成などが廃車除籍処分となっています。東武鉄道では『りょうもう』で活躍した東武鉄道200系列で唯一のVVVFインバータ制御車両である251Fが廃車除籍処分となりました。鉄道開業150周年となった年に多くの廃車が出るのは複雑な心境ではありましたね。

【7月】東日本旅客鉄道E233系0番台のグリーン車が登場
7月にはE233系0番台で初の2階建て車両のグリーン車2両が総合車両製作所横浜事業所から出場しました。E235系1000番台のグリーン車を基本のベースとしつつも、東京(JC-01)での折り返し時間の短さなどを考慮してグリーン車では初の両開き扉とされました。4号車がサロE233-1、5号車がサロE232-1で構成され、分割編成の八トタH57編成のモハE232-57・モハE233-857の間に組み込まれました。クハE233-57以下6両に組み込んで8両での試運転、さらにクハE233-515以下4両を連結した12両で試運転も実施されました。八トタH57編成の号車番号が変更前のままであるため、暫定的な組成と思われます。なお次に出場した4号車がサロE233-2、5号車がサロE232-2の車両は固定編成の八トタT24編成(クハE233-24以下10両)に組み込まれました。

【7月】東京地下鉄有楽町線小竹向原(Y-06)~新木場(Y-24)間でのワンマン運転を開始
▲有楽町線で活躍する10000系・17000系。副都心線では開業時からワンマン運転となっているが、有楽町線では副都心線と共用する和光市(Y-01)~小竹向原間だけ実施されていた。

7月には東京地下鉄有楽町線小竹向原~新木場間で平日のみの有料座席指定列車“S-TRAIN”を含めた全列車で車掌が乗務しないワンマン運転が開始されました。有楽町線では副都心線と共用する和光市~小竹向原間で先行実施されていましたが、この変更により有楽町線全線でワンマン運転となりました。乗り入れ車両を含む全系列で実施されていますが、直通先路線などでダイヤが乱れた場合の代走で東急電鉄5000・5050系4000番台(10両固定編成)が乗り入れる場合もありますが、その場合でもワンマン運転になるものとみられます。

【8月】各鉄道会社、バリアフリー推進のための運賃引き上げを発表
8月には各鉄道会社が持続的なバリアフリー設備の整備更新を推進していく計画に関する『鉄道駅バリアフリー料金制度』(2021年12月に国が新設した制度)の活用して、小田急電鉄など各鉄道会社が運賃引き上げなどを発表しました。エレベーターの設置更新やスロープの設置などにも実はかなりの費用がかかっています。駅によってはエレベーターやスロープの設置などで列車の交換設備を撤去したところもありますからね。

【8月】東急電鉄東横線に初の“Q SEAT”車両が登場
▲相模鉄道直通対応工事を施した5000・5050系0番台5166F(8両固定編成)に、転換クロスシートの“Q SEAT”車両2両を組み込み改番したのが4000番台4112Fである。スカートの形状が従来の4000番台と異なるほか、電動車と付随車の連結位置が微妙に異なっている。

8月には東急電鉄東横線で初の“Q SEAT”車両が登場しました。きっかけは相模鉄道直通対応改造工事を施した5000・5050系の元0番台5166F(8両固定編成)の元デハ5366(現在のデハ4312)・元サハ5466(現在のサハ4612)の間に無塗装の中間車2両が組み込まれて改番され、総合車両製作所横浜事業所を出場したことです。このときはサハ4412とデハ4512が欠番の状態でしたので、動向が注目されていました。なおこれまでの4000番台と異なり、電動車と付随車の連結位置が微妙に異なっています。

【8月】東京都交通局新宿線で全列車の10両編成化を達成
▲8月10日の朝をもって大島車両検修場所属の10-300形最後の8両固定編成である10-420Fが定期営業運転を終え、京王電鉄若葉台検車区に廃車回送された。8月11日に乗り入れ車両を含む全列車の10両編成化を達成した。

8月には東京都交通局新宿線の全列車が10両編成化されました。これは同月10日に8両固定編成の10-420Fが定期営業運転を終えたことに伴うもので、同編成は8月中に廃車除籍処分とされています。10-300形10両固定編成の6次車(10-650F10-720F)の増備が完了したことも影響しています。これにより8両固定編成が消滅しました。いずれは両数識別のためのステッカーが撤去されてもおかしくはなさそうですね。また同月には東京地下鉄千代田線や丸ノ内線、東西線などを中心にダイヤ改正が実施され一部列車の減便がありましたが、丸ノ内線では支線を含めた全列車の6両編成化を達成しており、余剰となった02系3両固定編成が廃車除籍処分となりました。

【9月】小田急電鉄1000形最後の非リニューアル車両の1251Fがラストランに
▲1000形非リニューアル車の1251Fがレーティッシュカラーの1058Fと組みラストランを迎えた。クハ1451では日付にちなんだ列車番号が表示された。実際には9月6日に特別団体専用列車での運用が最後となり、廃車除籍処分となった。これにより1000形6両固定編成が消滅した。

9月には1000形最後の6両固定編成である1251Fが特別団体専用列車に使用され、ほとんどの区間でレーティッシュカラーの1058Fと組んだ10両編成で走行しました。通勤形電車では約10年ぶりに分割併合作業が3回行われ、相模大野(OH28)では併合のみ、小田原(OH47)では分割併合の両方が実施されました。9月4日に撮影会に使用され、6日の特別団体専用列車で本当のラストランを迎え、廃車除籍処分となったのでした。これにより1000形6両固定編成がワイドドア車を含めて完全消滅となりました。

【9月】東日本旅客鉄道E235系0番台東トウ15編成、前面が黒くなった理由…
▲E235系0番台で初めて前面部が黒く塗装された東トウ15編成。今年の鉄道開業150周年にちなんだものだが、これと同時に特別な貸切広告編成に起用されたからである。
▲鶯色のE235系0番台に紛れて運用されるため、すれ違ってもわかりやすい『黒い山手線』。サブスクリプションの貸切広告とはいえど注目度の高い編成となった。

9月には東日本旅客鉄道山手線向けのE235系0番台東トウ15編成の前面部分が東京総合車両センターで黒く塗装され、注目されました。この編成は初代蒸気機関車をイメージした黒色のラッピングを施されるのですが、これが”Netflix”とコラボした貸切広告車となりました。黒い山手線は初めて見たときにインパクトがすごかったです。2022年限定でしたが、注目度は抜群でしたね。

【9月】横浜市交通局グリーンラインに初の6両固定編成がデビュー
▲グリーンライン開業後初めて6両固定編成となった10000形10121F。中間増備車には仕様変更がみられ、フリースペースの追加設置や駅停車中の誘導音の追加、袖仕切り板の形状の変更などがあった。当該編成の運用は当初は日曜日・祝日以外は固定されていた。

9月には横浜市交通局グリーンラインに6両固定編成がデビューしました。当該は10121Fに中間増備車の10123と10124を組み込んだものとなっており、前面部・側面部には橙色の“6 CARS”のステッカーが貼付されています。当初は平日は01運用、土曜日(祝日除く)は07運用に固定され、日曜日と祝日には運用されていませんでした。なお10000形6両固定編成2編成目となった10031Fの営業運転投入で平日日中時間帯以降や日曜日・祝日にも運用が拡大し、いずれは6両固定編成が主流になっていきそうです。

【9月】九州旅客鉄道西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)が開業
9月には九州旅客鉄道西九州新幹線の武雄温泉~長崎間が開業、熊本総合車両所大村車両管理室(幹クマ)に所属するN700S系8000番台(Y1編成Y2編成Y3編成Y4編成)が営業運転を開始しました。長崎駅では長崎県出身の長濱ねるといった著名人が出発式に立ち会うなど、大盛り上がりとなりました。列車種別は在来線の特急列車から引き継ぎ『かもめ』となっています。鉄道駅では初めてとなる嬉野温泉と大村線と接続する新大村では一部通過する列車があります。なお上り列車は武雄温泉で『リレーかもめ』と接続となりますが、武雄温泉行きではなく将来的な延伸開業を見据えてか博多行きとして案内されています。N700S系8000番台の予備確保のため、Y5編成が増備される予定です。

【9月】小田急電鉄1000形1058Fとロマンスカー”VSE”50000形が紅白共演!
▲1000形最後の非リニューアル車となった1058Fとロマンスカー”VSE”50000形50001Fが共演を果たしたが、1058Fはこのあと廃車除籍処分となった。

9月には箱根登山鉄道でも活躍した小田急電鉄1000形1058Fとロマンスカー”VSE”50000形50001Fが特別団体専用列車で追いかけっこリレーを開催し、海老名検車区で両者を並べた撮影会も実施されました。この特別団体専用列車のあと箱根登山鉄道の運用に使用された1000形1058Fは廃車除籍処分となり、非リニューアル車両は完全消滅、4両固定編成・10両固定編成のリニューアル車のみに整理されました。この時点でロマンスカー”VSE”50000形の正式な引退までは約1年ほど残っていましたね。

【10月】東京地下鉄9000系9109F(6両固定編成)がB修繕工事施工で8両固定編成に増強へ
▲東京地下鉄9000系9109Fが和光検車区新木場分室併設の新木場CRへ自走回送された。なおこの編成に組み込まれるサハ9409サハ9509が登場していることから、B修繕工事施工とともに8両固定編成に増強されるようだ。

10月には東京地下鉄南北線で使用される王子検車区所属の9000系9109F(6両固定編成)が和光検車区新木場分室に自走回送され、新木場CRに入場しました。同編成はB修繕工事を施工されるものと思われます。昨年に中間付随車2両が出場していることから、B修繕工事と同時に新製の中間付随車2両が組み込まれて8両固定編成に増強されるものと思われます。王子検車区の9000系では初めての8両固定編成になりますね。今後も中間付随車(5次車は電動車と付随車)が出場した際には、9109F以降の編成に何らかの動きが出るのかもしれません。

【10月】東日本旅客鉄道山手線でATOでの試験営業運転を開始
▲環状運転を行う山手線でついにATO運転が営業列車で試験的に開始された。内回り・外回りで各1編成ずつ運用することを考慮してE235系0番台東トウ17編成東トウ18編成が前面部と乗務員室扉の窓に”ATO”と表記され、実際にボタンひとつでのATO運転が行われている(写真は東トウ17編成)。

10月には山手線でワンマン運転導入に向けた営業列車でのATO運転が開始されました。この対象試験編成として、東トウ17編成(クハE235-17以下11両)の東トウ18編成(クハE235-18以下11両)の2編成(22両)が先行してATO運転での営業運転に投入されました。両編成に限り運転士がボタンを押すだけで加速から停止まで自動で行われたようです(ただし試験段階のため運転士は引き続き乗務しています)。2編成が用意されたのは内回りと外回りで1編成ずつ運用することを考慮したものとなっていますが、場合によっては両編成が同じ方向で運用されることもあったようです。この自動運転の話題はテレビにも取り上げられましたね。

【10月】東急電鉄新横浜線で日中時間帯の試運転列車を運転
▲新横浜線で試運転を実施した東急電鉄5000・5050系。このうち4102Fは相模鉄道全線での試運転にも用いられ、直通運転開始時に乗り入れない本線横浜(SO-01)~西谷(SO-08)間にも入線している。

10月には2023年3月18日開業予定の東急電鉄新横浜線で同路線に乗り入れる系列を使用した試運転列車が本格的に走り始めました。東横線からは5000・5050系4000番台のほか、東武鉄道50000・50070系、9000系が試験走行しました。目黒線からは3000系(8両固定編成に増強された編成)と5000・5080系が試験走行しています。なお6両固定編成は新横浜(SH-01,SO-52)までは直通します。なお相模鉄道20000系列の貸出返却は新横浜線の線路が繋がる前は甲種輸送などで対応していましたが、繋がって以降は自走回送で行われています。

【10月】小田急電鉄8000形4両固定編成が初の廃車除籍処分に
▲通勤形最古参形式の8000形。これまでは界磁チョッパ制御のままリニューアルされた2本と踏切事故に遭った1本の6両固定編成3本が廃車となっていたが、ついに4両固定編成に初の廃車が出てしまった。最初に廃車となったのは2009年度リニューアル車の8056Fである。

10月には通勤形最古参形式の小田急電鉄8000形の4両固定編成が初めて廃車除籍処分となりました。最初に除籍されたのは2009年度リニューアル車の8056Fであり、相方を失った8256Fは単独運用ののち、踏切事故で相方を失っていた8064Fと組まれました。これ以降も2代目5000形投入に伴って8000形の廃車が進み、6両固定編成では8259F、4両固定編成ではLED照明を搭載する8055Fが廃車除籍処分となりました。これで8000形は4両・6両ともに5番編成が欠番の形になっています。

【11月】東日本旅客鉄道205系600番台、『いろは』を除き廃車除籍処分に
▲205系600番台で最後まで残っていた日光色の宮ヤマY6編成、湘南色の宮ヤマY11編成が長野総合車両センターに配給輸送されて廃車除籍処分となり、宮ヤマY3編成の『いろは』を除き消滅した。
▲南武線支線と鶴見線で活躍が続く205系(写真は1100番台横ナハT17編成)。

11月に東日本旅客鉄道205系600番台の日光色・湘南色の最後の編成(宮ヤマY6編成宮ヤマY11編成)が廃車除籍処分となりました。宮ヤマY6編成はメルヘン顔で最後まで残った日光色、宮ヤマY11編成は最後まで残った湘南色の205系で、もともとは川越車両センターから転入した原型車でした。原型先頭車も消滅しましたが、東日本旅客鉄道の205系は『いろは』が京葉線時代からのメルヘン顔以外は先頭改造車のみとなっており、関東圏では南武線支線と鶴見線で活躍中です。

【11月】舞浜ディズニーリゾートラインの新型車両“Type C”100形141号編成(パープル)が営業運転に投入で新旧パープルの運用が実現
▲ミッキーの誕生日に舞浜ディズニーリゾートラインの新型車両“Type C”100形141号編成(パープル)がデビューを果たす。この時は“Type X”10形31号編成(パープル)の運用が公表されていたため、新旧パープルの同時運用が初めて実現したのである。

11月には鉄道開業150周年のなかでも印象に残った舞浜ディズニーリゾートラインで史上初の出来事がありました。ミッキーの誕生日当日にあたる18日から新型車両“Type C”100形141号編成(パープル)の営業運転が開始されましたが、この日はダッフィーに新たに加わる『リーナ・ベル』の装飾をした“Type X”10形31号編成(パープル)が一部の日中時間帯以外で運用に入ることが公表されており、新旧車両で同じ色が同時に運用されるケースは初めてのこととなりました。中には気づかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

【11月】東武鉄道でデジタル無線運用開始に伴いデジタル無線非対応編成に変化
▲東京地下鉄8000系ではデジタル無線非対応の2編成(8102F8114F)が東武鉄道直通非対応の編成となり『サークルK』に。うち1本(8114F)はわずか2週間で廃車除籍処分になってしまった。東急電鉄でも8500系8637Fが事実上『サークルK』となっている(ただしステッカーの掲出はない)。

11月には東武鉄道全線でデジタル無線の運用が開始され、その非対応編成が去就が注目されましたね。東上線では9000系トップナンバー(9101F)が運用を離脱中であるほか、伊勢崎線では乗り入れ車両の東京地下鉄8000系のうち2本(8102F8114F)が非対応ということで、東武鉄道への乗り入れが終了し、『サークルK』となりました。一方ではステッカーは掲出されていないものの、まもなく営業運転終了を迎える東急電鉄8500系8637Fも非対応編成となっていて、こちらも東武鉄道への乗り入れを終了しています。なお『サークルK』となった8000系8114Fはわずか2週間足らずで廃車除籍処分となりました。

【12月】小田急電鉄3000形リニューアル車、日中時間帯の多摩線・小田原線を初自走
▲3000形で初めてリニューアル更新工事を施工された3次車6両固定編成の3265F。終電後に小田原線内は8000形に牽引されたが、多摩線内は自走回送だった。しかし大野総合車両所に戻るときに試運転表示で日中時間帯では初自走となった。

12月には小田急電鉄3000形リニューアル車の3265Fが日中時間帯の初自走を行いました。大野総合車両所に戻る道すがらに実施されたものですが、喜多見検車区唐木田出張所構内で試験走行(乗務員訓練)を実施したものと思われます。なお自走回送自体は終電後での喜多見検車区唐木田出張所に向かう多摩線内のみで初めて行われていました。

【12月】京王電鉄5000系5737Fが営業運転に投入される
▲2022年度に延期された5000系増備車の5737Fがデビューを果たした。この編成は日本初のリクライニング機能を備える転換クロスシート車である。

12月には京王電鉄5000系の増備車である5737Fがデビューしました。基本的仕様はドリンクホルダーの設置や天井部の色を変更した5736Fに準じており、この系列では初めてリクライニング機能を備える転換クロスシートが設置されました。当初では昨年度に予定されていた増備車であり、これにより一部の7000系が置き換えられています。なお『京王ライナー』は2023年3月18日のダイヤ改正で土曜休日のみ運転の『Mt.TAKAO号』とともに増発される予定となっています。

【12月】東日本旅客鉄道E657系に『フレッシュひたち』復刻塗装編成
▲東日本旅客鉄道E657系水カツK17編が郡山総合車両センターでの検査の際にE653系0番台の塗装が復刻された。同系列のあと4編成(40両)でE653系0番台時代の塗装が復活する。
▲E657系水カツK17編成が復刻した塗装はE653系0番台当時の水カツK304編成水カツK307編成がまとっていたグリーンレイク。E653系0番台には連結器カバーがなかったため、復刻塗装編成では連結器カバーが取り外されている。

12月には『いばらきデスティネーションキャンペーン』に備えた一環として、東日本旅客鉄道郡山総合車両センターでの検査を受けていたE657系水カツK17編成にE653系0番台の復刻塗装であるグリーンレイクが施され、特急『ときわ62号』(勝0947→品1122・62M列車)より運用に入りました。E653系0番台が自動解結装置をもつ連結器を持つことから、編成番号が書かれた連結器カバーは撤去されて連結器がむき出しとなっています。この復刻塗装編成は当面の間運転されるようです。

2022年は鉄道開業150周年ということもあって、有料でもイベントを開催すれば賑わいが戻ってきたようなそんな感じがします。2023年も引き続き気を抜くことなく引き続き感染対策をしていきましょう。それではよいお年をお迎えください。