1996年3月に就役してから今年で約25年目となる小田急電鉄ロマンスカー“EXE”30000形ですが、2016年度から進められている日本車両製造豊川製作所でのリニューアル更新工事(“EXEα”化)により、残るは30055F+30255Fと30057F+30257Fのみとなっています。
▲ロマンスカーでは初めて輸送力増強および弾力的な運用を可能とするため4両固定編成と6両固定編成の2タイプで10両編成を組み、通勤特急として使用することも考慮して初めてボギー台車の20m車体が採用された“EXE”30000形。茶色の車体が特徴のこの形式も残るは写真上から30055F+30255F、30057F+30257Fの2編成となってしまった。
▲リニューアルされて“EXE”から“EXEα”に愛称が変わった30000形(写真はトップナンバーの30051F+30251Fと30256F)。非貫通先頭車と貫通先頭車に搭載されていた愛称表示器が撤去されてしまったのが残念である。リニューアルに伴って前面部の愛称表示器も消滅することになりそうだ。
まず同形式がどういう車両なのか振り返りましょう。新製投入された当時はロマンスカーといえば連接台車(つまり車体と車体を台車で連結、その上に貫通路連結部分がある構造)を採用する“SE”3000形、“NSE”3100形、“LSE”7000形、“HiSE”10000形のように先頭車に展望座席のある車両のイメージが強かったこともあり、外装のデザインや運用上の問題(当時は『はこね』『えのしま』の分割併合運用や『あしがら』という通勤特急などで途中駅からの利用を想定していたにも関わらず、小田原線内無停車の『スーパーはこね』にも使用されていた)などで就役翌年の1997年のブルーリボン賞の受賞を逃す結果となっています(ただし得票数では該当なし以外ではトップだった)。それでも最終的に日本車両製造豊川製作所製造の5編成と川崎重工業兵庫工場製造の2編成を合わせた7編成(70両)が投入されました。この形式が新製投入されてから箱根方面へロマンスカーを使う観光客は減少していたものの、座席定員がロマンスカーのなかで最多であったことと途中駅からの利用を重視したこともあり、年間利用者は増加していました。2020年現在では通勤特急として『モーニングウェイ』(上り)・『ホームウェイ』(下り)のほか、『さがみ』や『はこね』・『スーパーはこね』や『えのしま』など、基本的に『ふじさん』以外の新宿(OH01)発着の運用に幅広く使用されています。基本的に10両編成で運用されますが、利用状況や時間帯によっては4両固定編成を休ませて6両固定編成だけの単独で運用させることもあります。その茶色の車体が特徴のロマンスカー“EXE”30000形もリニューアル更新工事(“EXEα”化)の進捗で4編成のリニューアルが完了し、1編成はリニューアル入場中、残るは2編成のみとなっています。残った2編成が30055F+30255Fと30057F+30257Fというわけです。
いずれはこの2編成も日本車両製造豊川製作所でリニューアルされるものと思われますが、2019年6月に30055F+30255Fが、2020年7月に30057F+30257Fが“EXE”として最後の検査出場をしており、前回2018年度に”EXE”として最後の重要部検査を通し、2020年度にはリニューアル対象として入場した30053F+30253Fの例から考えると、2021年度は30055F+30255F、2022年度は30057F+30257Fへの施工が予想されます。個人的にはあの東芝製のIGBT素子VVVFインバータ制御が聞けなくなってしまうのは残念ですね。