2024年2月20日

【相互転属相次ぐ?】日本貨物鉄道EF210形100番台と300番台を新鶴見機関区・吹田機関区で相互転属のワケ

2024年1月になって、日本貨物鉄道ではEF210形300番台の新鶴見機関区・吹田機関区への配属が進められているなか、まさかの動きを見せています。吹田機関区に配置されていたEF210形100番台の一部と新鶴見機関区に配置されていたEF210形300番台の一部の相互転属の動きがあるようです。
▲吹田機関区に配属されたEF210形300番台325号機と新鶴見機関区に配属されたEF210形300番台344号機。過去には広島車両所に配属されたことがある。新鶴見機関区には老朽化が進むEF65形の置き換えのために326号機以降の一部が配属されるようになったが、2024年1月からは342号機が100番台と入れ替わりで吹田機関区に転属している。
▲新鶴見機関区に所属するEF210形100番台(写真は117号機・172号機)。吹田機関区にEF210形300番台の342号機が転属した穴埋めに100番台が吹田機関区から転入してきている。なお172号機は新製当初は新鶴見機関区ではなく吹田機関区に配置されていた。新鶴見機関区に300番台を配属しているのに、100番台と入れ替わりで転属させる意図とは?

これまでにEF210形300番台は現時点で362号機まで新製されていて、301号機~325号機、331号機~339号機、349号機~356号機は吹田機関区、326号機~330号機、340号機~348号機、357号機以降は新鶴見機関区に配属されていました。355号機から前照灯がLED式に変更されていて、以降のEF210形300番台も同様となっています。この300番台はもともと西日本旅客鉄道山陽本線瀬野(JR-G07)~八本松(JR-G08)間に『瀬野八(セノハチ)』という、最大22.6パーミリの勾配区間があり、その区間を通過する貨物列車の進行方向最後尾に連結する、新たな補助機関車向けとして登場していました。2023年3月のダイヤ改正では新たに梅田貨物線の一部の区間を地下化した際に双方とも20パーミル以上の勾配ができたことで、この路線を通る貨物列車にも補助機関車として連結されています。

老朽化が進むEF65形を置き換えるため、前照灯をLEDに変更したEF210形300番台を新鶴見機関区に配属しているのにもかかわらず、新鶴見機関区・吹田機関区の100番台と300番台で相互に転属しているのにはある程度の理由が考えられそうです。あくまでも私の勝手な予想ではありますが、まず考えられる理由としてひとつは300番台の半数以上が吹田機関区に配属されており、EF200形はすべて置き換えたものの、残るEF66形100番台を置き換え機関車の車種を統一させるる必要があること、そして『瀬野八(セノハチ)』と梅田貨物線の一部区間を通る貨物列車の補機として300番台が必須であること、そして検査入場の際の移動距離の短縮化が挙げられるのではないかと思います。100番台と300番台では検査入場先が異なっており、100番台は岡山機関区または広島車両所(全般検査は広島車両所)、300番台は吹田機関区で検査施工となるので、吹田機関区に300番台を新鶴見機関区から転属させると、貨物列車の牽引を担当する本務機の後部に無動力で連結させて移動させる手間が省けますし、東日本旅客鉄道の首都圏区間にはEF210形300番台の補機を連結させる必要がほぼないほど、勾配区間が少ないことから、EF210形100番台で十分に事足りるなどが挙げられることでしょう。新鶴見機関区にはEF210形100番台の転入が予想され、300番台の動向が注目されます。

なお吹田機関区所属の機関車は『吹』、新鶴見機関区所属の機関車は『新』の表記が差し込まれています。