2023年4月29日

【3000形リニューアル継続】小田急電鉄が2023年度の鉄道設備投資事業計画を発表

2023年4月28日、小田急電鉄が2023年度鉄道設備投資事業計画を発表しました。今年度の投資額は約261億円です。今回も【車両面】と【設備面】に区分して紹介します。

【車両面】
▲2022年度から3000形6両固定編成で初めてリニューアル更新工事が開始され、3次車の3265F3266F、4次車の3268Fに施工された。2023年度分も3編成に施工され、そのうち4次車の3267Fがリニューアル更新工事で入場中だ。残る2編成がどうなるか注目されるが、2本とも3次車となれば3263F3264Fが該当する可能性があるが果たして…。
▲8000形は撮影会を行った4両固定編成の8060F、撮影会を控える4両固定編成の8052Fが休車状態でどちらも廃車除籍処分になる見込み。一方の6両固定編成は3000形6両固定編成の予備編成の役割を果たすため、4両固定編成より必要とされている印象だ。
▲2023年度の5000形(写真は5062F)の増備については言及はない。

車両面では3000形6両固定編成3本(合計18両)のリニューアル更新工事が施工され、現在では3267F(旧東急車輛製造4次車・6両固定編成)が入場中となっています。同編成への施工は確実になるので、残りは2本(12両)となります。いずれもクハ3250側の電気連結器の撤去や種別行先案内表示器のフルカラーLED化、車内案内表示器の更新(3次車のみ)、防犯カメラの設置などが予定されています。最初の3265Fのみで実施された旅客用扉の交換は見送られるものと思われます。今年度も3次車・4次車(3267Fへの施工で4次車6両固定編成は2編成ともリニューアル車となる)に施工されるものと予想されますが、念のため5次車以降の編成の動向にも注意が必要です。もしも残り2本がどちらも3次車に施工するとなれば、3263F3264F(いずれも6両固定編成)への施工が予想できます。

一方の8000形は4両固定編成の廃車除籍処分が進められており、8052F8060Fについては休車状態となっていて、廃車除籍処分が確実な状況です(8052Fは5月13日の撮影会終了後に廃車除籍処分となる見込み)。6両固定編成の動向にも注意が必要ですが、3000形6両固定編成の予備車両として機能するため、まだまだ残る可能性が高そうです。一方2代目5000形の新製投入については一切言及がありませんので、増備はなさそうでしょうか。

【設備面】
▲昨年度に本厚木(OH34)の1番ホーム・2番ホームに設置されたロマンスカー対応の大開口ホームドア。今年度の設置駅は本厚木3番ホーム・4番ホームと町田(OH27)の全ホームで、本厚木1番ホーム・2番ホームと同じタイプのものが設置されるものとみられる。
▲5000形5056Fの車内で起きた傷害事件を受けて、リニューアル更新工事施工の3000形とワンマン運転対応工事施工の4000形を含む通勤形車両16編成と特急形車両4編成(個人的予想はロマンスカー“EXE”30000形30055F30255F30057F30257F)に車内防犯カメラが設置される。4000形はワンマン運転対応工事の際に車内案内表示器の隣に千鳥配置で設置されるが、3000形はLED照明と一体となった防犯カメラに交換となりそうか。
▲江ノ島線中央林間(OE02)ではホーム改良工事が予定されている。2032年度までのホームドア設置計画に含まれていて、2024年度に駅舎改良工事の全体竣工を目指すようだ。藤沢(OE13)と小田原線鶴川(OH25)では橋上駅舎化工事の着手に向けて関係自治体と協定を締結する。

小田急電鉄では2032年度までの計画として、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、新宿(OH01)~本厚木間の小田原線各駅と江ノ島線中央林間・大和(OE05)・藤沢にホームドアの設置を進めるとしており(新百合ヶ丘(OH23)・藤沢は大規模駅改良工事が計画されている)、今年度は本厚木の上り3番ホーム・4番ホームと町田の全ホームが設置対象になります。両駅ともにロマンスカーの停車に対応する大開口のホームドアが設置されるものと思われます。中央林間ではホーム改良工事を進め、2024年度の駅舎改良工事の全体竣工を目指します。藤沢と鶴川では橋上駅舎化工事着手を予定しています。藤沢は頭端式ホームですべて1号車寄りに改札口、新宿寄りに東日本旅客鉄道東海道線・上野東京ラインとの乗り換え改札口がありホーム内にはエレベーターが一切ありません。乗り換え改札口と接する跨線橋の階段も狭いため、車椅子利用者の乗り換え移動は1号車寄りの改札口を通る必要があります。鶴川は準急以下停車駅ですが、改札口は北口と南口(1番ホーム下り方)にあり、北口は改札内から見てホームを結ぶ跨線橋の階段を下りたところに、南口は1番ホームの小田原(OH47)寄りにあります。これを橋上駅舎化し、改札口を集約することで、北口の東側と西側に分かれた神奈川中央交通及び小田急バスのバスロータリーを北口と南口(駅前広場の整備を予定)にバスの発着を分ける狙いがありそうです。

また5000形5056Fの車内で起きた傷害事件を受けて、リニューアル更新工事施工の3000形とワンマン運転対応工事施工の4000形を含む通勤形車両16編成と特急形車両4編成に、車内防犯カメラが設置され、2025年度までに設置完了を目指します。前者は3000形3267Fと4000形4058Fは設置が確定で、後者は個人的な予想はロマンスカー“EXE”30000形(30055F30255F30057F30257F)とみていますが(これらの編成はデッキにも設置されていない)、“MSE”60000形となる可能性もあり得ます。これは同形式の車内防犯カメラは現時点でデッキが中心のみで、客室内には設置されていないためです。2020年度までにリニューアル更新工事を受けた“EXEα”30000形は客室内にも車内防犯カメラを設置している(なお“GSE”70000形は新製当初から設置している)ため、必然的に設置対象の車両が限られてきます。通勤形車両の場合はリニューアル更新工事を施工中の3000形3編成とワンマン運転工事を受けている4000形は確実で、それ以外の編成がどうなるかですが、4000形はワンマン運転対応工事の際に車内案内表示器の横に千鳥配置で設置するものと思われますが、3000形は既存のLED照明を交換しリニューアル車と同じLED照明と一体化した防犯カメラに交換するものと思われます。車内照明がLED化されていない編成がLED照明に交換される際に防犯カメラの設置有無があるかも注目です。

また橋梁の耐震補強工事は今年度は引き続き町田~相模大野(OH28)間(東日本旅客鉄道横浜線と交差する橋梁部分)と新たに相模大野~東林間(OE01)間の上りの小田原線と交差する跨線橋で、新松田(OH41)~開成(OH42)間の酒匂川橋梁では塗膜塗り替えによる腐食防止などが実施されます。