2017年2月17日昼過ぎ、京王電鉄で東京都交通局10-300R形の廃車回送の入換作業を記録しながら見守った私は京王稲田堤(KO-36)で下車し東日本旅客鉄道南武線に乗り換えるため、徒歩で稲田堤(JN-16)へ移動し、上り列車で武蔵中原(JN-08)へ。
武蔵中原で下車し徒歩で移動してみると、なんと中原電車区構内の川崎(JN-01)寄りの留置線に『N36』と書かれたE233系を偶然にも発見。実は元0番台八トタ青670編成から転用改造された8500番台横ナハN36編成でした。旅客用扉の横には半自動ドアスイッチが撤去されずに残されています。
この半自動ドアスイッチは残されたままではあるものの、生え抜き(新製配置)のE233系8000番台に半自動ドアスイッチが装備されていないほか、南武線内で半自動ドアスイッチは基本的に使用しないためかその回路が切られているものと思われます。八トタ青670編成の時には頻繁に使用していたのですが・・・。
川崎寄り先頭車から撮影するのは難しかったのでまず細部を最初に記録。編成番号が『青670』から『N36』に変更され、生え抜きの8000番台との続番になりました。また編成番号の上部には0番台時代にはなかった移動禁止箱が設置されており、『移動禁止』と赤く表示されていました。
側面の帯は中央線・青梅線・五日市線仕様から南武線仕様となり、側面の車番は『8500』が追加されたものに変更されました。よく見ると『クハE233-8570』と書かれています。
車番をアップで見てみると、『クハE233-8570』の『85』のところには元0番台八トタ青670編成時代の番号で『クハE233-70』であったときのハイフン以下『70』の跡があります。
この編成は当時の高尾(JC-24)・奥多摩(JC-74)寄りに4両編成を連結し10両編成を組成した際に車椅子兼ベビーカースペースを1号車・10号車の2ヶ所とするように設計していたためか、車椅子スペース兼ベビーカースペースは横ナハN36編成に限り1号車にのみあります。余談ですが、元八トタ青670編成時代の車内LCD旅客案内表示器はもともと15インチの2画面でしたが、転属にあたり生え抜きの8000番台と同じ17インチのワイド2画面に交換されていたことを確認しました。もしかしたら0番台のときのドアチャイムから8000番台と同じドアチャイムの音色へ変更した可能性があります。
所属表記。『横ナハ』とありますが、かつての所属先であった『八トタ』の跡があります。
こちらは『モハE233-8570』。『モハE233-70』から改造されました。元八トタ青670編成のときの番号である『70』・『528』(6号車のみ)はそのまま使用されているようです(ただし3号車・4号車は元の番号『270』に『8500』を追加したため『8770』となっている)。
3号車の『モハE232-8570』。こちらの写真ではほとんど消えているように見えますが、こちらにも0番台時代に使用していたハイフン以下『70』の跡があります。
4号車は『モハE233-270』から『モハE233-8770』に。八トタ青670編成の車番に『8500』を足したために『8770』となっています。こちらにもハイフン以下『270』の跡があります。
5号車の『モハE232-8770』。こちらも4号車と同様ですね。ちなみにパンタグラフは2号車に予備を含めて2基、4号車に1基搭載されており、生え抜きの8000番台と同じ両数・編成形態、パンタグラフの位置が8000番台と同じであることから、0番台6両編成のラストナンバーということでこの元八トタ青670編成が転用改造種車に選ばれたようです。
生え抜きの8000番台とは異なり、この横ナハN36編成の6号車のみ車椅子スペース兼ベビーカースペースが設置されていません。改造費用の関係もあってかそのスペース部分にあたる優先席の一部すら撤去されることなくそのままの優先席として残されているようです。
6号車の車番はハイフン以下の『8000』だけが足されて『クハE232-528』から『クハE232-8528』に。元八トタ青670編成は0番台H編成の6両編成側と同じく、6号車に分割併合が可能な連結器を装備しており、H編成の6両編成側の6号車と青600番編成の6号車の車番は続番となっているために(つまり中央線・青梅線向け八トタH43編成から八トタH59編成までの6号車が『クハE232-501』~『クハE232-517』、青梅線・五日市線専用の八トタ青660編成~八トタ青669編成の6号車が『クハE232-518』~『クハE232-527』という車番であり、元八トタ青670編成の6号車は実は元『クハE232-528』であった)、ハイフン以下の数字『528』を活用したところ、『クハE232-8528』となったのです。元の車番であったハイフン以下『528』の跡もくっきり残っています。
側面部はご覧の通り。見た目は半自動ドアスイッチがある以外は生え抜きの8000番台と同じように見えます。なお大宮総合車両センターからの出場回送時にはなかったドアステッカーが追加されているのが確認できました(『駆け込み乗車はキケン』のステッカーはいまだ貼付されていません)。
しかしこの編成の特徴は先頭車の連結器。生え抜きの8000番台と形状が少し異なるほか、6号車の自動解結装置をもつ連結器はなんと撤去されずそのまま残されています。0番台の特徴である半自動ドアスイッチと形状の異なる連結器と列車番号と種別行先が一体化された案内表示器がいかにも元0番台であるかがよく分かると思います。
連結器だけでなく、スカート周辺にも注目。よく見ると生え抜きの8000番台に装備されている『ホーム検知装置』はこの編成には装備されていません。
ここで種別行先案内表示器の試験が開始となり、前面部・側面部での表示が開始されました。
前面部に回り込むと、列車番号表示器と種別行先案内が一体となった表示器に『1111F 各駅停車 立川(『立川』の下部にTachikawa)』『1111F Local 南武線(『南武線』の下部にNambu Line)』とROM更新された状態で表示されました(生え抜きの8000番台はROM更新されておらず路線名に英語表記はない)。元0番台八トタ青670編成の時は運用線区の関係で列車番号と行先のみでしたが・・・。
ちなみに途中から川崎行き表示に変わりましたが、川崎行きはこのような表示になります。稲城長沼(JN-18)行き、武蔵中原行き、武蔵溝ノ口(JN-10)行きだと表示が窮屈そう・・・。
横ナハN36編成は今後このような表示で運用されていくものと思われます。
立川寄りからはうまく隙間を見つけて編成全体を撮ることが出来ました。
すると直後にE233系8000番台横ナハN3編成がなぜか『1234F』『快速 川崎』表示で新たに仲間に加わる横ナハN36編成の隣へ構内移動してきました。横ナハN36編成と並んだ証拠にカメラに収めました。
横ナハN3編成が再び構内移動すると横ナハN36編成の表示は消えており、無表示になりました。南武線内での試運転が楽しみですね。なお営業運転は3月15日からとなります。
最後にもう1枚撮って観察を終了しました。元0番台の特徴が残っていることもあり、いままでよりも観察時間が長かったように感じました。
最後に比較用にE233系8000番台横ナハN11編成の1449F列車(平日49F運用)を撮って帰りました。
※注意※
青梅線・五日市線から南武線に転属したE233系8500番台横ナハN36編成に関する写真はすべて中原電車区の敷地外より撮影しております(柵の隙間からズームして撮っているものもあります)。あらかじめご了承ください。