2021年12月18日

【江ノ島線は運転系統分断に】小田急電鉄が2022年3月実施のダイヤ変更の一部概要を発表

2021年12月17日、小田急電鉄が2022年3月12日に実施する予定のダイヤ変更の概要の一部を発表しました。今回も【ロマンスカー】【一般種別列車】で見ていきます。今回のダイヤ変更ではウィズコロナによる生活様式や行動の変化を考慮したものとなっており、初電終電は変更はありませんが、それ以外の部分で変更があります。

【ロマンスカー】
▲『モーニングウェイ』に使用されるロマンスカー“EXE/EXEα”30000形。着席通勤の機会を増やすため平日に3本増発、乗降客数が新宿(OH01)に次いで多い町田(OH27)に停車する列車も増える。これまでピーク時の『モーニングウェイ』は江ノ島線からの1本は相模大野(OH28)→新宿間、小田原線の便は海老名(OH32)→新宿間が途中無停車である。
▲2022年3月11日をもって定期営業運転を終了するロマンスカー“VSE”50000形。定期運用を終えた後はイベント列車など特別団体専用に活用されたあと、2023年秋で引退する。そのあとのミュージアム展示を見据えているのかも…?

ロマンスカーでは着席ニーズの高まりを捉えて、平日の『モーニングウェイ』を3本増発して着席機会を増やし、同列車の町田停車を増やすことで利用しやすくします。なお現行ダイヤで平日朝の町田に停車する『モーニングウェイ』を調べると、6時26分発の0970レ(平日N42N62運用・EXE/EXEα)のあとは東京地下鉄千代田線直通で、6時44分発の0440レ(平日N22N72運用・MSE)を除くと、同駅8時24分発の0978レ(平日N21N71運用・MSE)までの2時間、新宿行き『モーニングウェイ』の停車列車が1本もありません。これは江ノ島線藤沢(OE13)始発の0550レ(平日N44N64運用・EXE/EXEα)は相模大野→新宿間、小田原線の0672レ(平日N45N65運用・EXE/EXEα、場合によってはVSE/GSE)、0674レ(平日N41N61運用・EXE/EXEα)、0676レ(平日N43N63運用・EXE/EXEα)は海老名→新宿間が途中無停車であり、相模大野・海老名以西の乗客を見込んだ停車駅であるためです。

夕夜間では帰宅ラッシュ時間の早期化に対応するため、現行では平日・土曜休日問わず18時以降に発車する新宿発のすべてのロマンスカーが『ホームウェイ』、千代田線からの便は『メトロホームウェイ』となっていますが、前者は17時以降に『ホームウェイ』となるように変更され(現行ダイヤで言うと平日の0137レ(平日N32運用・VSE/GSE)・土曜休日の0135レ(土曜休日N31運用・GSE)にあたる列車から『ホームウェイ』に)、小田原線の便は全列車海老名に停車、後者は平日の運転時間を1時間繰り上げて利用しやすくして、全列車成城学園前(OH14)に停車します。また22時に新宿を発車する『ホームウェイ』は6本(土曜休日は5本)から3本に減ります。

これ以外では海老名発の日中時間帯の上りロマンスカーの所要時間を約8分短縮して約38分で結ぶように速達性を向上させるほか、伊勢原(OH36)・秦野(OH39)への停車列車が増え、両駅からのロマンスカーが利用しやすくなります。また平日の朝に片瀬江ノ島(OE16)始発で運転していた0560レ(平日N46N66運用・EXE/EXEα、場合によってはMSE)が時刻変更され藤沢始発に変更される形となりそうです。これは【一般種別列車】のところで後述しますが、藤沢を境目とした江ノ島線の運転形態の変更が影響していそうです。また2022年3月11日をもって、ロマンスカー“VSE”50000形(50001F・50002F)が経年劣化と主要機器更新の見送りにより、定期営業運転を終了することが発表されました。同形式(2編成)を失うことと、ロマンスカーの運転本数が見直されること、17時以降の列車が『ホームウェイ』になることを踏まえると、平日の箱根湯本(OH51)発着の『はこね』は現行より上下で15本減り、小田原線内発着の『さがみ』は現行より上下で3本増え、江ノ島線の『えのしま』は現行より上下で1本増えます。小田原線の途中無停車である『スーパーはこね』がどこまで減少するのかも注目です。土曜休日の箱根湯本発着の『はこね』は現行より上下で12本減り、小田原線内発着の『さがみ』は現行より上下で4本増え、東海旅客鉄道御殿場線直通の『ふじさん』は現行より上下で2本減り、江ノ島線の『えのしま』が現行より上下で3本増えます。

【一般種別列車】
▲平日朝に小田原・新松田(OH41)発の相模大野行き急行が5本減便される。このうちの1本は8両編成で運転されている。相模大野で江ノ島線の快速急行に接続する列車だ。その代替として本厚木始発の各駅停車1本が秦野発、通勤準急1本が伊勢原発として運転区間を延長する。
▲平日の日中時間帯は新宿~町田間、多摩線の運転本数が見直され、土曜休日は平日の日中時間帯と概ね同じダイヤで運転される。新宿発の新松田行き急行が町田発の小田原行き急行(新松田~小田原間は各駅停車)に変更され、6両編成での運転に。新松田での種別変更はあるものの、事実上の赤丸急行の復活である
▲江ノ島線は運転系統が藤沢で分離される形となり、藤沢での乗り継ぎがほぼ必須になる。

一般種別列車では多くの変更点がありますので詳しく特筆します。まず平日朝の通勤時間帯に小田原・新松田発で設定されている相模大野行き急行はラッシュ時間帯に現行ダイヤで(6756レ→)1000レ(平日A33運用・小0550→大0648)、1002レ(平日E21運用・小0617→大0713)、(6758レ→)1004レ(平日A44運用・小0619→大0723)、1006レ(平日E19運用・松0650→大0733)、1008レ(平日B26運用・松0700→大0743)、(6760レ→)1010レ(平日A39運用・小0657→大0753)がありますが、このうち5本が削減され、その代替として本厚木発で設定されている各駅停車1本が秦野(1番ホーム)発に、通勤準急1本が伊勢原(1番ホーム)発に変更されます。なお通勤準急は千代田線直通列車となります。

日中時間帯は新宿~町田間と多摩線の運転本数が見直され、前者は新宿発新松田行き急行を町田発小田原行き急行(新松田から各駅停車に変更)に置き換わり、6両編成での運転となります。新松田での種別変更はありますが、実質の赤丸急行の復活といえますね(※赤丸急行とは種別が急行のままで、10両編成は新松田~小田原間でノンストップ(当時)だったのに対し、6両編成で運転する列車に限り、新松田~小田原間の各駅にも停車していた列車)。後者は新宿発唐木田(OT07)行き急行を新百合ヶ丘(OH23)で種別を変更し、多摩線内を各駅停車で運転します。前者については小田原線快速急行のほかに江ノ島線直通の快速急行があるため、相模大野で町田発の6両編成の急行を接続する形がとられますね。後者については多摩線内に待避設備がないほか、多摩線の日中時間帯の1時間の運転本数を小田原線直通列車を含めて6本とするため、新宿発の急行を種別変更する形にしたものとみられます。多摩線内急行運転の列車が各駅停車に変更となって減る分、線内折り返し運転も減りそうですね。さらには同時間帯に日中時間帯の千代田線からの直通列車は現行の準急から急行に格上げ変更され(千歳船橋(OH12)・祖師ヶ谷大蔵(OH13)・狛江(OH16)を通過)、向ケ丘遊園(OH19)までの運転となります。日中時間帯の準急は無くなる可能性がありますので注意が必要です。

夕夜間は新宿発の各駅停車が1時間8本から6本に、千代田線からの直通列車が1時間8本から6本にそれぞれ削減され、後者は一部が急行となっていますが、すべて準急に統一します。また平日の夕夜に通過していた急行を経堂(OH11)に停車させ、経堂に終日急行が停車するようになります。通勤時・退勤時の利便性のために一部急行が通過していた経堂は終日急行停車駅となります。経堂を終日急行停車駅とすることで、経堂・成城学園前での各駅停車・準急との接続を改善し利便性が図られることになります。さらに新宿発の江ノ島線直通列車は急行から快速急行に変更し、逆に多摩線直通列車は快速急行から急行に変更されます。このため『快速急行唐木田』は午前中のみとなりそうでしょうか。

最後に特筆すべきは江ノ島線の運転形態の変更です。これには驚いた方も多いと思います。今回のダイヤ変更では藤沢を中心とした運転形態に変更され、藤沢~片瀬江ノ島間では両駅で折り返し運転(発着)する各駅停車を原則とした運転となり、江ノ島線の運転系統が藤沢で分断される形となるわけです。これまで藤沢で向きを変えるスイッチバックのような形で跨いで直通運転していた列車がほとんど無くなります。町田・相模大野~片瀬江ノ島間の大半の列車や土曜休日の片瀬江ノ島行き快速急行が消滅するのです。土曜休日には江ノ島方面へのお出かけには結果的に不便になってしまいますね。なおダイヤ変更後の藤沢を跨ぐ列車はロマンスカーと藤沢~片瀬江ノ島間のシャトル運用に送り込むための列車に限られるものと思われ、それ以外は相模大野からの便は原則藤沢発着、片瀬江ノ島からの便はほぼすべて藤沢発着のシャトル列車になります。このため藤沢では相模大野方面と片瀬江ノ島方面の列車発着ホームが変わりますので十分にご注意ください。この変更によって運行定時制の向上と車両運用の効率化を図ります。藤沢~片瀬江ノ島間では平日日中時間帯に1時間5本(12分に1本)、土曜休日日中時間帯に1時間6本(10分に1本)となるため、同区間シャトル中心の運用は6両固定編成2本あたりで回していきそうですね。

現行ダイヤでは10両編成の全列車が行先を問わず1番ホーム、片瀬江ノ島方面が2番ホーム(一部は1番ホーム)、相模大野方面が4番ホームを使用していますが、変更後は相模大野方面が3番ホーム(2番ホームと線路共用)、片瀬江ノ島方面は4番ホームとなり、各駅停車同士の場合は藤沢で対面乗り継ぎが可能となりますが、片瀬江ノ島発着の列車と優等種別との乗り継ぎには不便ですね。2番・3番ホームに停車する列車が3番ホーム側で客扱いをしつつも2番ホーム側の旅客用扉を開けたままにしていれば停車中の列車を通って乗り継ぎすることはできなくはないですが…。車椅子の方などは跨線橋にエレベーターがないのでホーム間での平面移動で乗り継ぎができます。また2番ホームは平日の混雑する時間帯では降車専用となるので注意しましょう。

今回紹介したのは以上ですが、これ以外にも運転時刻や区間の変更、一部ダイヤの見直しをすることがあります。新たな時刻発表に期待したいですが、運用は再び大きく変更されそうですね。1000形でリニューアルされずに残っている6両固定編成(2022年1月に引退予定の1754Fを除く)の処遇が気になりますが、多摩線往復運用を削るなどして6両編成のA運用を現行からいくつか縮小すれば、5000形の投入で置き換えなくても、編成余剰分で捻出し廃車除籍とすることも考えられます。ロマンスカーも“VSE”50000形の定期運用終了で2編成分が失われる形になるので、N運用も大幅な変更がありそうです。“GSE”70000形の増備という声も聞こえてきそうですが、運用の見直しがあれば“GSE”を増備しなくても済むという利点もありますので、車両増備は期待しない方が賢明かと思います。ダイヤ変更により展望座席のあるロマンスカーは“VSE”50000形の定期運用終了(のち2023年秋引退)で“GSE”70000形だけとなり、ロマンスカーは3車種(EXE/EXEαを2車種とすると4車種)のみとなりますから、色々な意味で悲喜こもごもなダイヤ変更といえそうです。