2025年1月17日、東急電鉄が多摩川線矢口渡(TM-06)付近から蒲田(IK-15,TM-07)の区間を地下化し、蒲田から京浜急行電鉄本線・空港線の京急蒲田(KK-11)付近まで(仮称)新空港線の0.8kmを新設、同線を経由して多摩川線と直通運転を行う営業構想の認定を申請したことを発表しました。この構想が認可されれば、多摩川線と東横線の直通運転も期待されます。
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▲池上線と多摩川線のみで活躍中の雪が谷検車区所属の7000系(写真は7114F)と1000系1500番台(写真は1505F)。このうち多摩川線は多摩川(TY-09,MG-09,TM-01)と蒲田を結ぶ鉄道路線であるが、それを京急蒲田付近まで延長するというものだ。なお多摩川で東横線・目黒線と線路自体は繋がっており、長津田車両工場への入出場に使用されている。.JPG)
▲多摩川線との直通運転が想定されている東横線はワンマン運転でありながら8両編成または10両編成で運転されており、多摩川線で運転されている3両編成とは輸送量が異なる。直通運転を想定しているのであれば、諸問題を解決しなければならない。
東急電鉄多摩川線は東横線・目黒線と接続する多摩川の5番線ホーム・6番線ホームから蒲田方面に伸びており、蒲田では頭端式ホームに到着することとなっており、池上線⇔多摩川線の折り返し直通列車を除き、同駅3番線ホーム・4番線ホームを中心に発着しています。これが京急蒲田付近まで延長されるとなると、蒲田の多摩川線ホームのみが地下化され、池上線と別ホームになることが予想されます。すべて1000系0番台・1500番台、7000系の3両編成で運転されていますが、ホームの有効長自体は鵜の木(TM-03)以外は4両分あり(1両分は柵で仕切られて立入禁止になっている)、かつて4両で運転されていた名残があります。一方の東横線は東京地下鉄副都心線との相互直通運転開始前は全列車が8両固定編成で運転されていましたが、現在は各駅停車・急行で8両固定編成、急行・通勤特急・特急(Fライナー含む)は10両固定編成で運転されています。多摩川付近で地下に入る線路がありますが、池上線・多摩川線車両が長津田車両工場に入出場する際に使用されるのみとなっています。構想では多摩川線の京急蒲田付近までの実質延長(新空港線の新設)と、東横線との直通運転を考慮しているようですが、それまでに問題が多数ありそうです。
両路線は車掌がいないワンマン運転を実施していますが、輸送量の違いがあります。東横線は最低でも8両ですが、多摩川線は池上線と共通なので3両です。そのため東横線は多摩川線の2倍以上の両数を連結しています。しかも扉の数が東横線は4扉に対して、多摩川線は3扉となっており、他社に譲渡されなかった元東横線の1000系が活躍中です。また多摩川線と新空港線を地下で繋ぐので、蒲田の大規模な地下化工事が必要になります。途中駅での折り返し設備がないため、多摩川線全線を止めてでも工事を行う必要性があります。車両数が異なるのもそうですが、使用車両の問題もあります。多摩川線は1000系と7000系の2系列ありますが、東横線は5000・5050系0番台・4000番台や横浜高速鉄道Y500系など、多種多様な車両を使用しています。東横線方面と多摩川線経由で新空港線に直通するとしても、車両面や整備面などでいろいろな問題が浮き彫りになってくるのではないかと思っています。
それでも東日本旅客鉄道京浜東北線と東急電鉄多摩川線・池上線の蒲田と、京浜急行電鉄本線・空港線の京急蒲田とは800mほど離れており、両者を結ぶ交通網が課題になっていたことは間違いありません。この構想が本当に実現するのかどうか、長い目で見守る必要があります。