2020年1月20日の平日00G運用を最後に東日本旅客鉄道山手線から撤退し姿を消したE231系500番台元東トウ506編成。現在は廃車となるサハE231-4606を除き八ミツA506編成への改造を終えて3月3日に出場しています。
▲新たにE231系500番台八ミツA506編成となった元東トウ506編成。
▲ひっそり引退した03系。一部は地方鉄道に譲渡され活躍している。
▲最後のラストランを行わず引退が早まった700系C編成。B編成も予断を許さない。
このときE231系500番台は1月10日のヘッドマーク掲出以降、特別にラストランイベントを行うことなく、1月24日に東京総合車両センター西側にそのまま入場して転用改造に入ったことが特筆されます。このようにラストランイベントをまったく行わずに引退する車両が増えています。一体なぜなのでしょうか。
今月に入って東海旅客鉄道700系C編成、そして東京地下鉄日比谷線の03系がひっそり引退しています。前者の700系C編成はもともとラストラン列車として臨時『のぞみ』が東京~新大阪間で運転される予定でしたが、まさかの中止(運休)となっており、団体専用列車『ありがとう700系』をもって事実上は東海所属編成の運用および東海道新幹線での運用を終えています。また山陽新幹線で残る700系B編成もまったくもって予断を許さない状況です。
また東京地下鉄03系も最後まで残っていた03-136Fがひっそり姿を消し、同系列は消滅となりました。この編成も一部車両は解体処分になりそうですが、先頭車と一部中間車は転用となる可能性もありますね。
この3車種ともラストランイベントを行わなかったこととして、まずは鉄道ファンの殺到と混乱を避けるためとみられます。ひとたびラストランのイベントを行うと、ラストランで最後の雄姿を収めたいと鉄道ファンたちが殺到することで、その中で発生する悪質行為や迷惑行為などで混乱してしまう恐れがあると踏んだ各鉄道会社がイベントを行わずに引退させることで最悪の事態を避けたい思惑があるからだと推測します。私もいち鉄道ファンとして、こういう行為が発生することでいつも心が締め付けられる想いでいます。ひとりでも多くのファンに満足できる1枚を撮ってほしいと思いつつも、運転に支障のないように安全に撮影できるような準備も必要なのです。だからこそ日々の記録の積み重ねで、何気ない1枚がのちのち貴重な記録になったりすることを改めて実感させられます。
そして昨今流行が続いている新型コロナウィルスの影響もありそうです。時差通勤などの推奨によって、『混雑を避ける』という意味ではイベントの取りやめともリンクするところがありそうです。正直言ってラストランイベントは今まで活躍してきた車両たちの花道であり、旅立ちの瞬間でもあるのです。今の時期は新型コロナウィルスの流行の影響を考えるとラストランイベントの実施には否定的ですが、ラストランが行われないことは非常に残念でなりません。今後私たち鉄道ファンはイベントなしの引退ということも頭の隅に置いておきながら、日々の動きを注視しなければらならいことを肝に銘じておくべきでしょう。