2017年11月1日、小田急電鉄が2018年3月中旬に実施予定のダイヤ改正の概要を発表しました。今回は小田原線の代々木上原(OH05)~登戸(OH18)間の複々線区間の全面使用開始に伴い、停車駅の変更や種別新設(厳密には復活)などを伴うかなり大規模なものとなっています(社長が「ダイヤを一から作り直した」というほどですから・・・)。今回は【ロマンスカー編】と【一般列車編】に分けて紹介し、ダイヤ改正で消滅するもの(形式や種別)なども交えながら紹介したいと思っております。続いては【一般列車編】となります。
【一般列車編】
▲一般列車の最速達種別『快速急行』が平日の通勤ラッシュ時間帯に増発され、登戸が停車駅に追加される。さらには多摩線にも新宿(OH01)発着の『急行』(平日の日中時間帯)・『快速急行』(土曜休日の朝夕のみ)が設定されるほか、新たに江ノ島線内『急行』、小田原線内『快速急行』で運転する直通列車も登場する。『快速急行』の運転時間拡大により、駅によっては上り初電と下り終電が『快速急行』となる駅もあるようだ。
▲平日ラッシュ時間帯には多摩線唐木田(OT07)・小田急多摩センター(OT06)を始発として新宿までを1本で結ぶ『通勤急行』(2代目)、また西端の本厚木(OH34)から東京地下鉄千代田線方面を1本で結ぶ『通勤準急』(2代目)が新たな種別として設定されることに。『通勤急行』は1971年以来で約47年ぶり、『通勤準急』は1964年以来で約54年ぶりの復活となる。
▲現行の『準急』は新松田(OH41)~伊勢原(OH36)間、代々木上原~新宿間、多摩線内では廃止となり、運転範囲は伊勢原~千代田線内のみとなる。また新たに『準急』の停車駅として狛江(OH16)、祖師ヶ谷大蔵(OH13)、千歳船橋(OH12)が停車駅に追加される。なお現行の『準急』の停車駅は千代田線直通の『通勤準急』の停車駅として引き継がれ、経堂(OH11)にも停車する。
▲小田原線・多摩線に乗り入れる東京地下鉄16000系と東日本旅客鉄道E233系2000番台。現行では『準急』『急行』『多摩急行』で運転されているが、ダイヤ改正で小田原線・多摩線と千代田線を1本で結ぶ『急行』、朝と夕夜に運転されていた『多摩急行』が廃止される。その代わり両系列が小田原線内の新百合ヶ丘以西でも『通勤準急』『準急』『各駅停車』(『通勤準急』は平日朝のみ)として運用されるものと思われる。
一般列車では複々線区間の拡大に伴い、平日朝ラッシュ時間帯に新宿に向かう優等列車を増発して所要時間をさらに短縮します。小田原線系統では最速達種別の『快速急行』が大増発となり、新たに登戸が停車駅に追加されます。登戸の快速急行停車は同駅利用者にとって悲願であり、それがついに叶う形になります。同駅は東日本旅客鉄道南武線と接続するので、利用者は少なくありません。しかしながら本厚木以西に住む私にとって新百合ヶ丘(OH23)~下北沢(OH07)間の15駅連続通過(途中無停車)が魅力的だったことや、とても速達性の感じられる停車駅だったので残念という思いと、私自身まれに登戸を利用することもあって、嬉しさと無念さが半分ずつといった感じですね。ただ登戸の下り1番ホームの使用開始時に『快速急行』『急行』と『各駅停車』との緩急接続やロマンスカーの通過待ちなどが行われるものと思われます。またダイヤ改正後の『準急』は、小田原線内で新松田~伊勢原間、代々木上原~新宿間、多摩線内での設定が廃止され、全列車が千代田線直通となるほか、基本的に『準急』の西端は伊勢原となります(本厚木~伊勢原間の定期回送列車を客扱いする形になる)。日中時間帯の『急行』は小田原線内のみでは小田原(OH47)発着ではなく新松田発着となるほか、平日朝夕に設定されていた経堂通過の『急行』はダイヤ改正では平日夕方の下りのみとなり(千代田線からの直通を含む)、同駅への『急行』の停車本数がさらに増えます。
また多摩線では多摩線⇔新宿を1本で結ぶ『急行』『快速急行』が新たに定期列車として設定されます(ただし『急行』は2011年の震災時特別ダイヤで8000形や3000形などによる『急行 唐木田』が運転されていた時期があったので実際には約7年ぶり)。『快速急行』の停車駅は多摩線内では『急行』と同じ(栗平[OT02]、小田急永山[OT05]、小田急多摩センター、唐木田)です。平日朝の通勤ラッシュ時間帯には新たに『通勤急行』が設定され(平日上りのみ運転となり、唐木田からの回送で小田急多摩センター始発の列車も存在する)、従来の『急行』の停車駅から登戸と経堂の両駅を除いた停車駅となっています(つまり『急行』・『多摩急行』よりも上位の種別にあたる)。ただし平日下り1本のみで設定されている新宿発唐木田行きの『準急』(4701レ:平日C19運用)は廃止となりますのでご注意。また江ノ島線では平日朝の上り通勤時間帯に江ノ島線内『急行』で、小田原線内『快速急行』となる列車が登場します。すなわち江ノ島線内快速急行の通過駅で急行停車駅である南林間(OE03)、長後(OE08)の両駅からであっても相模大野(OH28)での種別変更により、途中停車駅で快速急行に乗り換えずに新宿まで直接向かうことができます。また下りでは江ノ島線直通の『急行』『快速急行』が新百合ヶ丘多摩線3番ホーム発着に変更され、4番ホームに発着する多摩線唐木田方面の『各駅停車』と接続します。なお土曜休日では上下1往復しなかった片瀬江ノ島(OE16)発着の『快速急行』が大増発となり、藤沢(OE13)発着の列車は朝晩のみに激減します(藤沢~片瀬江ノ島間を区間延長することで江ノ島方面への観光が可能となる)。
なお千代田線直通系統にも大きな変化が生じ、千代田線⇔多摩線を結ぶ『急行』と『多摩急行』が廃止となります(代替は多摩線⇔新宿の『急行』)。『多摩急行』は2002年に登場した種別であり停車駅は小田原線・多摩線の急行停車駅から向ヶ丘遊園(OH19)を除いたものとなっていました。この種別は約16年で消滅となります。なお朝晩には小田原線方面(新百合ヶ丘以西、西端は下りのみ伊勢原)⇔千代田線を結ぶ『急行』と小田原線内(西端は本厚木[OH34])⇒千代田線を結ぶ『通勤準急』が設定されるほか(『準急』より上位種別)、運転取りやめとなる多摩線⇔千代田線の『急行』に代わって、小田原線⇔千代田線の『準急』・『各駅停車』が日中時間帯に設定されるようになり(すなわち改正後の『準急』が緩行線を走行)、同時間帯の準急の西端は基本的に向ヶ丘遊園となるほか、土曜休日のみ成城学園前(OH14)発着も設定されます(多摩線内乗り入れは消滅し、向ヶ丘遊園以西へは朝夕のみ)。改正後の『準急』停車駅には狛江、祖師ヶ谷大蔵、千歳船橋の各駅が追加され、急行線から緩行線への走行に変更されるほか、初めて日中時間帯にも運転されるようになります。また新設される『通勤準急』の停車駅は現行ダイヤでの『準急』停車駅が踏襲され、こちらは経堂にも停車します。平日夕方の代々木上原方面の千代田線内の駅では乗り入れ先の小田急電鉄小田原線の行先が増え、成城学園前、向ヶ丘遊園、相模大野、伊勢原の各駅が追加されます。
今回のダイヤ改正では初電・終電の時刻が変更され、初電を繰り上げて終電を繰り下げることで早朝深夜の利用客への利便性向上を図ります。私は早朝に上り列車を利用しているので個人的には朗報といえます。なお私の地元の伊勢原では上り初電と下り終電が『快速急行』(上り小田原04:55発、下り新宿23:42発)となっており、少なくとも愛甲石田(OH35)~新松田間の各駅で上り初電・下り終電が『快速急行』となります。なおダイヤ改正において減便となる列車もあり、代々木上原~新宿間および新松田~小田原間(日中時間帯)と江ノ島線・多摩線の『各駅停車』は運転本数が見直しとなりますのでご注意を(代々木上原~新宿間の減便は一部各駅停車が千代田線直通となることによるもので、もしかすると8両編成のB運用を減らして予備車両確保を狙っているのかもしれません)。